一刻を争う温室効果ガスの排出量削減、日本と世界の現状は?

co2排出量REアクション
この記事は約7分で読めます。

地球の平均気温はここ100年で非常に高くなっています。近年の異常な高温や豪雨による水害、過去最大規模の台風など、温暖化を実感している人も多いでしょう。日本をはじめ世界の国々は、温暖化を防ぐために温室効果ガス排出量の削減目標を定めていますが、効果は出ているのでしょうか。

今回、温室効果ガスの排出量削減の現状について解説したいと思います。

温室効果ガスとは?

そもそも温室効果ガスとは何でしょうか。

大気中に存在し地球を暖める役割を果たす

温室効果ガスは大気圏に存在し、太陽光から放射され地表から跳ね返った赤外線の一部を吸収し、地表に再放射しています。これによって温室効果が生みだされています*。

*参照:概要 – JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター

万一、温室効果ガスがなくなると、地球の気温はマイナス19℃近くまで下がると言われています。温室効果ガスは地球温暖化の中でネガティブな言葉として使われることが多いですが、温室効果ガスが存在することで地球の平均気温は約14℃に保たれ、生物が生きることができます。

温室効果ガスの種類

人間によって排出される主な温室効果ガスは、二酸化炭素(以下、CO2)、メタン、一酸化二窒素、フロンガスなどがあります*。

*参照:地球温暖化の原因と予測 – JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター

なかでもCO2は、地球温暖化への影響が最も大きい温室効果ガスで、石炭や石油の消費などにより大気中に大量に放出されているのが現状です。また、大気中のCO2を吸収する森林が減少していることなども一因となって、大気中の二酸化炭素は増加し続けています。

温室効果ガスはなぜ増えるのか?

温室効果ガスの代表であるCO2は、主に石炭、石油、天然ガスなど、化石燃料の燃焼により発生します*。

*参照:地球温暖化の原因と予測 – JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター

例えば、電気のエネルギーを作るときには、大量の化石燃料が使われています。また、化石燃料のガソリンを燃焼させて走るのが自動車です。私たちの生活にとって便利なものを使えば使うほど、大量のCO2が排出されることになり、地球温暖化を加速させています。

日本における温室効果ガスの排出量・推移

地球温暖化対策の中で最も大きな課題は、温室効果ガス排出量の削減です。日本では「パリ協定」に基づき、2030年度の温室効果ガスの排出を、2013年度の水準から26%削減することを目標としています。パリ協定とは、2020年以降の気候変動問題に関する国際的な枠組みです。

上記のグラフから分かるように、2013年に日本では過去最高の14億1,000万トンの温室効果ガスを排出しました。しかし、2013年度以降は減少傾向にあり、2018年度には12億4,400万トンと5年連続で減少となりました。2013年度の排出量と比べて、11.8%(1億6,600万トン)の減少に成功しています。

とは言え、目標達成までの今後12年間で、さらに14%以上の削減をしなければなりません。まだまだ努力の必要があるのは言うまでもないでしょう。

排出量を抑えられたのは、原子力発電による電力の低炭素化により、電力由来のCO2排出量が減少できたことが挙げられます。ほかにも、省エネや暖冬などの影響によりエネルギー消費量自体が減少し、エネルギー起源のCO2排出量が減少したことも一因です。

世界における温室効果ガスの排出量・推移

続いて、世界の国々が掲げる温室効果ガス排出量の削減目標を見てみます。

米国は、2025年までに、2005年と比較して26~28%の削減目標を掲げています。EU(欧州連合)は、2030年までに1990年と比べて40%削減する目標です。一方、中国の打ち出した目標は、温室効果ガスの排出集約度(国内総生産(GDP)あたりの排出量)を2020年までに、2005年比で40~45%削減としています。韓国は、2030年の温暖化ガス排出量を、特別な対策をとらない場合に比べて37%削減するとの目標を発表しています。

進捗状況を確認するため、世界における温室効果ガス排出量の推移を見ていきます。

2016年、世界の温室効果ガス排出量は321億t-CO₂になりました。日本をはじめ、米国、カナダ、EUといった先進諸国で減少傾向にあるものの、インドやアフリカでは増加しています。

次に、各国別の温室効果ガス排出量シェアを見てみます。

日本は中国、米国、EU、インド、ロシアに続いて世界で6番目に排出量が多く、国別の排出割合では2.7%を占めています。引き続き温室効果ガス排出量の削減に取り組んでいく必要があります。 

主要国・地域別一次エネルギー消費の動向

2019年、国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のCO2排出量は増加傾向から一転し、前年実績とほぼ同レベルの約330億トンとなりました*。

*参照:IEA:2019年に世界のCO2排出量「横ばい」に、日本は原子力の再稼働で4%減 – 一般社団法人日本原子力産業協会

CO2排出量が「横ばい」に留まったのはなぜでしょうか。

米国・EUにおける一次エネルギー消費の鈍化・減少

「横ばい」の理由は、各国の「一次エネルギー消費」の動向に関係があります。一次エネルギー消費とは、石油、石炭、天然ガス等から得られるエネルギーです。米国の一次エネルギー消費は、2019年に前年比1.0%減、EUも前年比1.4%減となりました。米国は中国に次ぐ世界2位の消費国であり、EUも世界シェア11%の大消費地域です*。

*参照:BP統計に見る、2019年の世界のエネルギー情勢 – 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

米国・EU両国における一次エネルギー消費の減少にともない、CO2排出量が減少したのです。背景には、世界経済の拡大が減速傾向にあることが挙げられています。さらに、日本をはじめとした先進諸国では再生可能エネルギーを強化し、石炭火力から天然ガス火力への転換、原子力発電所の稼働などを進めています。

こういった取り組みも、発電にともなうCO2排出量の減少に貢献しました。

一次エネルギー消費増加を示す、中国、インド、アジア新興国

先進諸国とは対照的に、2019年も一次エネルギー消費を増やしたのが、中国、インド、アジア新興国です。中国は前年比4.4%増となり、世界シェアは 24%になります。また、インドの一次エネルギー消費は2.3%増、インドネシアは8.3%増、ベトナムは10.7%増でした*。

*参照:BP統計に見る、2019年の世界のエネルギー情勢 – 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

結果として、同年におけるアジア太平洋地域の一次エネルギー消費は、前年比で3.3%増になりました。世界のエネルギー消費に占めるシェアは44%となり、CO2排出量の課題に向き合う責任が大きくなっていると言えるでしょう。2019年、先進諸国を除いた国々では、CO2排出量が合計4億トン近くまで増大しました。増加したうちの約80%は、一次エネルギー消費が上昇しているアジア諸国のものです。

化石燃料の圧倒的なシェア高に変わりなし

世界で使われているエネルギーをエネルギー源別に見ると、2019年に最も高い増加率を示したのは、再生可能エネルギー、原子力、天然ガスでした。しかしながら、各エネルギー源のシェアでは、これまでと変わらず、トップが石油(33%)。以下、石炭(27%)、天然ガス(24%)、水力(6%)、再生可能エネ ルギー(5%)、そして、原子力(4%)となっています。再生可能エネルギーや原子力の増加率は増えたものの、化石燃料のシェアは合計で84%と圧倒的に高い状況に変化はありません*。

*参照:BP統計に見る、2019年の世界のエネルギー情勢 – 一般財団法人日本エネルギー経済研究所

先進諸国がけん引する温室効果ガスの排出量削減

日本を含む先進諸国では、温室効果ガスの排出量削減に向けた取り組みが現状は功を奏していることが読み取れました。しかし、目標達成への道半ばであり、これまで以上の努力が求められるでしょう。地球温暖化は待ってくれません。

一方、中国やアジア諸国、他の国々でも、温室効果ガスの排出量削減に向けた責任があることに変わりありません。経済発展とのバランスを見ながら、相応の取り組みに努めなくてはなりません。今後も動向を注視して行く必要があるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました