日本の再エネ市場とRE100企業の動き

REアクション
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現在の再生可能エネルギーの市場はRE100やREアクション*の動きと連動している、ないしは大きく影響を与えていると言えます。それだけ、RE100の動きは大きく力強いものです。現在のRE100 の動きと、そこからみえる再生可能エネルギー市場の動きについてまとめます。

*RE100についてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

日本の再エネ市場概状

日本の再エネ電力は、2018年時点で全体の比率で18%となっています。この18%という数値は、主要国の中では残念ながら決して高い数値とは言えません。

イタリアの39.7%やスペインの38.2%と欧州が軒並み高い再エネ率を誇るのに対して、日本は最も低いアメリカ16.8%に次ぐ状態となっています*。

*参考:経済産業省『今後の再生可能エネルギー政策について』より

高い日本の再エネコスト

再エネの普及のために、2012年に再エネルギー特別措置法によって固定価格買取制度(FIT)が導入されましたが、それ以降も再エネコストは海外と比べても高い状況にあります。

経済産業省によると、「固定価格買取制度(以下 「FIT 制度」という。)における買取費用総額は既に約 3.8 兆円にまで増大している。世界では技術革新などによって低コストでの再生可能エネルギーの導入が進展している中で、世界の状況を日本においても実現し、再生可能エネルギー の円滑な大量導入を推進していくことが求められている」* という状況が継続しています。

そのために、2020年度末までにFIT制度の抜本的見直しが進められ、エネルギー供給強靭化法が2020年6月が成立しました。また、2020年4月からはFIP制度も創設されました。

*令和3年4月経済産業省『調達価格等に関する報告』より引用

電力システム改革と電力の自由化の現状

電力システム改革とは、既存の電力システムを改革する動きとなります。電力システム改革においては、以下の3つの実現が改革の目的になります。

・安定供給の確保
・電気料金の最大限の抑制
・需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大

日本の電力自由化は、この電力システム改革の一環になります。小売部門の自由化(2016年4月完了)が行われ、調整力の公募(2017年4月運用開始)が行われました。これらのことから、消費者は電力小売事業者を自由に選択できて、新規の電気小売事業者が参入している状態です。

さらに、2020年以降で発電および小売からの送配電の法的分離が義務化されています。これにより地域を独占する形だった既存電力会社が分割されることになりました。

そして、最終的には延期されましたが、電力の規制価格の撤廃が2020年には計画されていました。競争が進む中では価格競争が進むため、価格を規制することは必要ありません。しかし、まだ発電事業において充分な競争環境にないという状況の表れと言えます。

2030年、再エネ比率50%

RE100に参加している日本を代表するグローバル企業は、日本政府に対して2030年までに再生可能エネルギー目標を50%に引き上げることを要請*しています。

元々は、2030年の再エネ目標は22〜24%でしたが、新たに修正されたエネルギー基本計画の素案では36~38%へと上方修正されています**。しかしながら、引き上げた50%の目標を達成するのは簡単ではありません。しかし、これを実現することで以下のようなメリットがあると述べています。

・市場に対する強力なシグナルとなり、経済のグリーンリカバリー推進に役立つ
・価格変動や地政学的なリスクが多大に有する化石燃料への依存を減らせる
・企業が再エネを利用しやすくすることで、日本の排出実質ゼロ目標達成に向け、自社の対策を推進する多くの企業を後押しできる

*RE 100日本政府に宛てた書簡より

**経済産業省「エネルギー基本計画(素案)の概要

RE100企業からの要請の背景にあるもの

日本の再エネ電力の調達は、技術・資源・組織・社会・経済など様々な分野の障害があります。それらの課題に企業がSBT* の実現に取り組むために、日本の国としての2030年の再エネ目標である再エネ電力比率22〜24%という目標をより高く設定することを求めています。

日本が再エネ目標を野心的に50%まで引き上げる上で必要となる政治的リーダーシップを発揮し、多くの企業の後押しとなることが期待できます。

国が方針を示し、利害関係を整理することで日本全体で再エネに取り組むことの必要性からRE100に参加する企業は提言に至っています。

*SBTについてより詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。


**参考:再エネ市場概況レポートより

企業の再エネ電力の需要

RE100の参加企業を代表としてREアクション参加企業など、多くの企業で再エネ電力の需要が高まっています。企業がその操業に必要な電力を再エネ電力でまかなうためには、調達方法が重要になります。

再エネ電力を調達する方法は、日本では以下の5つがあります。

①オンサイト発電
②オフサイト発電
③自己託送
④グリーン電力メニュー
⑤エネルギー属性証明

オンサイト発電

企業は、自社で再生可能エネルギー設備を自社内の敷地に設置し、事業に必要な電力を発電することができます。この発電をオンサイト発電と言います。オンサイト発電の場合には、電気事業法のバウンダリ外になります。そのため、ライセンスを持つ小売電気事業者を介することなく直接の再エネ電力の購入ができます。

また、オンサイト発電した電力の全量ないしは自家消費しなかった分を系統に販売もできます。一方で、自家消費をした分は再エネ属性が残ります。再エネ属性とは、kWh単位で電力属性を示す証明書です。

この再エネ属性は、電力と切り離して取引ができます。この証明書を購入するとその利用(償却)すると再エネ利用の主張ができます。

オフサイト発電

オフサイトとは、電力を必要とする施設と別の場所に導入した太陽光発電設備によって発電します。そして発電された電気は送配電ネットワークを利用して施設へ送電する「自己託送」システムを活用した電力購入契約になります。施設内が物理的な理由などから太陽光発電システムの設置が適さない場合などに採用される方法です。

オフサイトには、場所の選定ができるという点で発電設備の規模の制約を受けません。また、発電コストの再エネ証書を購入する必要がないなどの比較的安価に利用できるメリットがあります。

一方で、託送料金やバランシングコストや、再生可能エネルギー賦課金などの費用がかかる点は課題もあります。

自己託送

自己託送とは、遠隔地にある太陽光発電の電気を電力会社の送配電ネットワークを利用して自社の建物やビル等に電力を供給する方法です。

詳しい解説はこちらの記事で確認できます。

グリーン電力メニュー

日本で認定を受けた小売電気業者であれば、グリーン電力メニューを提供することができます。そのため、再エネ発電事業者が小売電気事業者と提携することで再エネを希望する企業への提供も可能になります。

逆に、再エネを調達したい企業は、グリーン電力メニューを提供する小売電気事業者と契約することで再エネ電力を利用できます。

エネルギー属性証明

エネルギー属性証明は、再生可能エネルギー源から発電された電気の環境属性情報を提供する証明書になります。日本であれば1kWhの再エネが生産され、系統に流されたもしくは発電者によって自家消費されたことをエネルギー属性証明は証明します。

つまり、エネルギー属性証明は再生可能エネルギー源からの電力消費を行うことで温室効果ガス排出の削減を記録する市場手段となります。

日本でのエネルギー属性証明は、以下の3つになります。

・グリーンエネルギー証書
・J-クレジット(再エネ起源)
・非化石化証書

3つともに自家消費した電力、またはグリー ン電力認証/ラベルとして機能します。

参考:再エネ市場概況レポート

企業の具体的な動きーイオン株式会社

RE100に加盟している企業の中で、イオン株式会社は「イオンの『再エネ 100%』の達成に向けた挑戦」と題された2050年までにRE100達成目標時期に設定した取り組みによって令和元年の新エネ大賞を受賞しています。

イオンは、大型のショッピングモールを展開しており、その施設の電力を太陽光発電システムなどの再エネ電力によって自家消費で賄うことや、関西電力のCO2フリー電力などを利用しています。また、再エネ電力の利用だけにとどまらず、店舗内の人の流れや温度や湿度などのデータとAIを活用することで、空調自動制御システムを試験的に導入するなどに取り組んでいます。

参考:一般財団法人新エネルギー財団「新エネ大賞-New Energy Award-

まとめ

日本の再エネ市場は、世界と比較してまだ出遅れている状況です。その分、伸びしろがある状態と言うこともでき、官民連携して日本全体で再エネに取り組むことが望まれています。

RE100ならびにREアクションに参加する企業は年々増えている傾向にあり、企業として再エネへの関心や実際の取り組みへの必要性が高まっていることがわかります。これからは、日本が国を挙げて2030年や2050年などの節目の目標を高めて本気の取り組み姿勢を示せるか、が今後の再エネの行方を大きく左右します。

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