バイオマス発電の基礎知識
バイオマス発電とは
バイオマス発電とは、動植物・微生物などの生物資源(バイオマス)を燃焼、またはガスを発酵させて電気を創る発電方法のことです。生物資源(バイオマス)を燃焼させた時に生じる蒸気エネルギー、またはガスの気体エネルギーがタービンを回転させる回転エネルギーから電気を創出します。
バイオマス発電でいうところの生物資源とは、
- 木材、建築廃材、稲わら、トウモロコシ、麦わらなど →乾燥系資源
- 食品廃棄物、家畜排泄物、下水汚泥など → 湿潤系資源
- 古紙、廃材、パームヤシ、食用油など → その他資源
のことをいいます。
未使用で廃棄した建材や各種素材、農作物や食品などが燃料として再利用されるため、持続可能なエネルギーであるだけでなく、循環型の資源の有効活用が実現できる発電方法です。
バイオマス用に生物資源を生産するケースもあります。
CO₂排出は0ではない
バイオマス発電は基本的に生物資源を燃焼させて電気を創りますので、CO₂排出は0ではありません。廃棄物の中には石油やプラスチックなども含まれ、その他の再エネに比べるとCO₂排出量は高めで、カーボンニュートラルともいわれています。
ただし、光合成によりCO₂を吸収して成長する生物資源に関しては、「京都議定書」の規定にてCO₂を排出しないものと同等に見なされています。
バイオマス発電の仕組み
バイオマスで発電する仕組みは3種類あります。
直接燃焼方式 → 木くず、可燃ゴミなどを直接燃焼して発電
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熱分解化方式 → 木くず、生ごみなどの生物資源を発酵させて生じるガスを燃料に発電
![](https://re-action.jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-03-16-04_24_50-バイオマス発電のしくみ-_-みるみるわかるEnergy-_-SBエナジー.png)
生物化学的ガス化方式 → 家畜の排泄物や生ごみなどを発酵して生じるガスをタービンで発電
![](https://re-action.jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-03-16-04_18_21-バイオマス発電のしくみ-_-みるみるわかるEnergy-_-SBエナジー.png)
バイオマス発電とバイオガス発電の違い
バイオマス発電は生物資源を燃焼させて蒸気エネルギーを発生させますが、バイオガス発電は生物資源を発酵させてガスそのものの気体がエネルギー源となる点が異なります。
バイオマス発電の普及状況
バイオマス発電量の世界ランキング
![](https://re-action.jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-03-16-04_45_28-•-Biofuel-production-in-leading-countries-2019-_-Statista.png)
世界でバイオマスエネルギーの発電量が最も高いのはアメリカ、次いでブラジル、インドネシア、ドイツと続きます。「国際エネルギー機構 IEA」ではバイオマスエネルギー市場は2030年には約3倍に拡大すると予想しています。
国内のバイオマス発電比率の推移
![](https://re-action.jp/wp-content/uploads/2021/03/2021-03-15-20_12_54-Window-1.png)
バイオマス発電比率は日本国内では国内総電力の2.8%とまだ低めですが、2014年以降は徐々に拡大しつつあります。
バイオマス発電の豆知識
バイオマス発電はおもに廃棄物が燃料資源となるため、地域住民や自治体、他業者との連携が欠かせないようです。
株式会社エコERCでは、地域で家庭で使用済の天ぷら油を回収しバイオディーゼル燃料を製造しています。給油設備を設置して、自治体公用車や地元バス会社、物流会社など民間向けに燃料供給しています。
宮城県の有限会社千田清掃では、食品産業にて排出される廃食用油を回収しバイオディーゼル燃料を製造しています。自社の車両の燃料に利用したり、事業者と災害時の燃料供給にて協定しています。
ごみ回収を基盤にリサイクル事業とバイオマス発電事業を自治体が率先して取り組む例も見られています。大小様々な活用方法があり、産業関連の事業者には取り組みやすい再エネだといえます。