日本の太陽光発電の現状~再生可能エネルギーとは

太陽光発電REアクション
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2000年代に入ってから、世界では自然の力を利用した再生可能エネルギーを主力エネルギーへと移行する動きが強まってきています。近年、日本においても太陽光発電を中心とする再生可能エネルギーの普及が進み、SDGsやRE Actionなどが多くの企業から注目されています。

太陽光発電によって自身で消費する電力を賄うことができれば、コスト削減につながるだけでなく、深刻化する地球温暖化を中心とした環境問題の解決にもつながります。

ここにきて、太陽光などの再生可能エネルギーの導入を考え、現状や基本的な仕組みが気になる企業や自治体も多いのではないでしょうか。

今回は、国内における太陽光発電の現状や仕組みについて解説していきます。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは、石油や石炭などのいずれは枯渇する化石燃料を使用したエネルギーとは異なり、太陽光や風力などの自然の力で再生が可能な資源を利用したエネルギーのことをいいます。

再生可能エネルギーの定義*1*2は

  • 枯渇しない資源(永続的に利用可能)
  • 身近な自然環境から入手できる(日光や水など)
  • 基本的に人体や自然環境に無害である(CO₂を排出しないなど)

以上3つの要素を有するエネルギーのことです。

*1 参照:再生可能エネルギーとは – 資源エネルギー庁
*2 参照:再生可能エネルギーの特徴 – 関西電力

再生可能エネルギーの種類

再生可能エネルギーには以下のような種類があります*。

  • 太陽光発電
  • 風力発電
  • 水力発電
  • 地熱発電
  • 太陽熱利用
  • バイオマス
  • 雪氷熱利用
  • その他自然環境から得られる熱 など

*参照:再生可能エネルギーとは – 資源エネルギー庁

太陽光発電の概要

太陽光発電は太陽の光を電力へと変換する発電方法です。

ソーラーパネルに組み込まれたモジュールが太陽の光を集めます。モジュールに集積された太陽の光はパワーコンディショナーという付属機器を通して直流電流から使用可能な交流電流へと切り替わる仕組みになっています。

使用可能な電力に切り替わった太陽光エネルギーには3つの使途があります。

  1. 電力として消費する
  2. 電力会社に送電して売電する
  3. 蓄電池に蓄える

太陽光発電普及の歩み

原油、石炭、天然ガスなどの燃料資源に乏しい日本では、国内で必要な燃料の90%以上を他国からの輸入に依存しています。とくに東日本大震災後のエネルギー自給率が落ち込んだことから、再生可能エネルギーによる自給率の改善が強く推進されてきました。

出典:わが国のエネルギー自給率 – 資源エネルギー庁

そこで国内では、再生可能エネルギーの普及率を高めるため、様々な政策が実施されてきました。

  • 太陽光発電の電気を固定価格で買い取るFIT制度
  • 太陽光発電の設備導入への補助金制度
  • その他再生可能エネルギー設備導入への補助金制度
  • 再生可能エネルギー発電促進賦課金の制定

これらの政策によって、ここ数年で住宅や企業での太陽光発電の導入が促進されてきています。

太陽光発電の導入量と設備コストの推移

現在の国内の太陽光発電の導入量と設備コストの推移は以下のようになります。

出典:太陽光発電の導入とシステム価格の推移 – 資源エネルギー庁

2011年以降は再生可能エネルギーの推進対策にともない、国内の太陽光発電の全導入量は急速に増加しました。ソーラーパネル1kW当たりのシステム価格も普及とともに価格も低下しています。

国内の太陽光発電の導入量は、ここ数年で着実に伸びており、中国、ドイツと並んで世界をリードしている状況にあります。しかし、再生可能エネルギー全体で見た時には、まだ国内の普及率は低く、他国に出遅れているのが現状です。

出典:再生可能エネルギーの現状 – 資源エネルギー庁

太陽光発電の種類

太陽光発電が当たり前に家電店でも売られるようになり、比較的に安価な導入が可能となり、導入を検討する企業や自治体も増えてきています。

そこで、具体的に太陽光発電システムにはどのような種類があるのかを解説していきます。

住宅用と企業用

まず、太陽光発電はソーラーパネルの規模によって大まかに住宅用と企業用(産業用)とに分かれます。

住宅用か企業用かによって、適用される固定価格買取制度や支給される補助金、さらに売電収入にかかる税金などが変わってきます。

住宅用太陽光発電とは

一般家庭の住宅の屋根に設置する太陽光発電は、住宅用・家庭用に分類されます。出力10kW未満で、基本的に消費を目的に設置する太陽光発電のことです。

家庭で使わなかった太陽光の電気を電力会社に買い取ってもらうことができます。住宅用に設置した場合でも出力10kWを超えると企業用に分類されます。

企業用太陽光発電とは

企業用太陽光発電は、産業用・業務用とも呼ばれ、出力10kWを超える太陽光発電を意味しています。消費と売電、あるいは売電のみを目的に設置されるものです。

会社や工場、店舗の屋根や遊休地に設置されるのが一般的です。大型駐車場や畑の一部に設置する場合もあります。出力10kW以上の太陽光発電はすべて企業用として見なされます。

低圧・高圧・特別高圧

また、太陽光発電は「低圧・高圧・特別高圧」と電圧の違いによっても分類*されています。電圧の違いによって電気事業法による取り扱いが異なってきます。

低圧

  • 出力50kW未満の太陽光発電
  • 交流電圧600V以下
  • 直流電圧750V以下

一般的に住宅用など小規模な太陽光発電は低圧、企業用太陽光発電でも上記の要件に該当するものは低圧です。電気事業法では「一般用電気工作物」に分類されています。

高圧

  • 出力50kW~2,000kW未満
  • 交流電圧600V以上
  • 直流電圧750V以上

企業用・産業用で上記の要件に該当する大規模な太陽光発電は高圧になります。電気事業法では「自家用電気工作物」として分類されています。

特別高圧

  • 出力2,000kW以上
  • 交流・直流電圧7,000V以上

いわゆるメガソーラーと呼ばれる巨大な規模の太陽光発電は特別高圧となります。電気事業法では「自家用電気工作物」に分類されていますが、特殊なケースとして特例が設けてあります。

*参照:電圧の区分と施設規制 – 日本電気技術者協会

太陽光発電の売電の仕組み

それでは、次にどのような売電の仕組みがあるのかを解説します。

FIT制度

FIT(Feed-in Tariff)制度とは、国が法律で定めた太陽光発電の買取制度のことで、「固定価格買取制度」とも呼ばれているもので2009年に開始された制度です。

再生可能エネルギーを普及促進にあたって、太陽光発電などの設備を導入した個人・法人は、電力会社から一定期間に渡って固定価格で電気を買い取ってもらえることを法的に保証しています。

太陽光発電のFIT制度では、10kWを目安に出力量によって1kWあたりの買取価格・買取期間などを規定しています。

出典:固定買取価格・FIT制度 – 資源エネルギー庁

FIT制度が開始されてから、買取価格は年々下がる傾向にあります。当初は住宅用で48円/kW、企業用で40円/kWだったものが今では半額以下に下がっており、導入をためらう声も聞かれています。

しかし、一方では設備導入にかかる費用は3分の1程度に下がってきているため、最終的な売電収入の比率は当時とほとんど変わらないといえます。

FIP制度

FIP制度とは、「Feed In Premium/フィードインプレミアム」を略したもので、再生可能エネルギーを支援する新しい買取制度の1つです。

FIP制度は欧州を中心に拡大している買取制度で、電力の買取価格が固定ではなく、その時の電力市場の動向によって変動していくタイプの制度です。端的にいえば、個人や法人がそれぞれ市場にて直接電力を売買する仕組みになります。

FIP制度における買取価格は以下の2つの要素によって決まります。

  1. その時の電力市場における売電価格
  2. 買い取る側が上乗せするプレミアム価格

つまり、電力を売る側は、市場の相場にプラスアルファの価格が上乗せされた金額を受け取ることができるのです。その時の市場動向や売電先によって、買取金額が大きく変動することになります。

このFIP制度は、FIT制度が限られた期間しか適用されない点をカバーする役割と電気工事業者の競争を活性化する役割を果たすことが期待されています*。まだ、日本では導入が始まったばかりで、FIP制度で買取を行う事業者がこれから増えてくると予想されています。

*参照:FITからFIPへ、再エネ新制度で何が変わる? –日経XTECH/

全量売電

全量売電とは、消費を目的とせずに太陽光発電で作った電力をすべて売電に回すことをいいます。「全量買取制度」とも呼ばれている売電方法です。

全量買取制度が適用されるのは、2020年度は50kW以上の企業用・産業用の太陽光発電および条件を満たした10kW以上の農業をしながら太陽光発電を行う営農型発電のみとなります。全量売電の場合は固定買取制度の買取期間が20年と長くなるのがメリットですが、買取価格が住宅用よりも安くなる傾向にあります。

余剰売電

余剰売電とは、住宅や会社・店舗などで必要な電力を消費した後で余った電気を売電に回すことをいいます。「余剰買取制度」とも呼ばれる売電方法で、住宅用で10kW未満の太陽光発電はすべて余剰買取に該当します。

10kW以上の企業用・産業用の太陽発電の場合は、全量買取か余剰買取かのどちらかが選択できる仕組みになっています。例えば住宅用余剰売電の場合、買取期間は10年になります。いずれの場合でも出力kWに応じた買取価格と期間が適用されます。

自家消費

自家消費とは、太陽光発電で作った電力をすべて各自で消費する利用方法のことをいいます。売電することを目的とせずに、自給自足で必要な電力を太陽光発電で賄うことを目的としています。

とくに、売電価格が下がってきた近年においては、蓄電池を活用して電力会社から極力電気を買わずに済ませる企業や自治体が増えてきています。

企業・自治体の「RE Action」

使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指した「RE Action」が、今、企業や自治体の間で注目されています。

環境省は、中小企業や自治体を中心とする「再エネ100宣言 RE Action」にアンバサダーとして参加し、脱炭素社会・燃料自給率の向上を推進しています。

今後は、各省庁・都道府県・公共団体などと連結を図り、国内全体の再生可能エネルギーの普及拡大を促進していく方針です。

SDGs対策やRE Actionが企業や地域経済の安定と発展に欠かせないといわれる昨今、まずは再生可能エネルギーへの認識を高めておくことが導入への第一歩となるでしょう。

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