エネルギーミックス実現に向けた日本の再エネ戦略

油田REアクション
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豊かな自然に恵まれているにも関わらずエネルギー資源に乏しい日本では、未来のエネルギー源をどのように確保していくか、限りあるエネルギー資源をどのように利用していくのか、これらは日本に常に付きまとう大きな問題です。そのような中、再生可能エネルギーは大きな注目を集めています。

日本の中長期的なエネルギー政策は、「エネルギー基本計画」として公表されています。その時の内閣の閣議決定を必要とし、日本のエネルギー分野の方向を定めます。今回は、日本のエネルギー戦略についてエネルギー基本計画を中心に解説していきます。

再エネ戦略の本質「エネルギー基本計画」とは?

日本の再生可能エネルギー(以下、再エネ)戦略を語るうえで欠かせない存在が、「エネルギー 基本計画」です。ここでは、その概要を解説します。

国が定めるエネルギー政策の中長期的な基本方針

「エネルギー基本計画」とは、日本政府がエネルギー政策について中長期的な方向性や目標を示したものです。エネルギー政策基本法に基づき、最低でも 3 年ごとに見直しが求められるとともに、閣議決定することが定められています。

現在のエネルギー基本計画は、「第5次エネルギー基本計画」(2018年7月閣議決定)と呼ばれ、現在のエネルギー政策の指針の役割を果たしています。

ポイントは安全性を満たした上で求められる3つの「E」

エネルギー基本計画では、「S+3E」という概念が重視されています。「S」は安全性(Safety) で、これが全ての前提となります。これにエネルギーの安定供給(Energy Security)、経済性(Economy)、 そして環境保全(Environmental Conservation)という 3 つの「E」がプラスされたのが「S+3E」という概念になります*。

安全性を前提として安定的に供給でき、できるだけ経済的にかつ環境保全にも配慮すること、これが日本のエネルギー政策の基本となっています。

*参照: 平成30年7月「エネルギー基本計画」 – 資源エネルギー庁

目指すはエネルギーミックスによる再エネ比率 22~24%

エネルギー源には原子力をはじめ、太陽光、風力、水力、石炭火力、天然ガス(LNG)火力、石油火力などがあります。安定供給やコスト、環境といった「3E」を考慮した場合、どのエネルギー源がベストであるか断言することはできません。各発電方法にはそれぞれ一長一短があり、それぞれの特徴を考慮してエネルギー戦略を策定する必要があります。

今あるエネルギー源のどれかに集中するのではなくいくつか組み合わせることで、それぞれのエネルギー源の長所を活かす、エネルギー基本計画ではこの「エネルギーミックス」という考え方を推進しています。

2030年、エネルギーミックスにより石炭・天然ガス(LNG)・石油等、火力による電力比率は56%を目標とされています。原子力発電への依存度は20~22%、そして、再エネ比率は22~24%に設定されています*。

*参照: 2019年9月「国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達 価格等算定委員会の論点案」 – 資源エネルギー庁

世界の再生可能エネルギー事情と日本の課題

上記では日本の再エネ戦略の概略を説明しました。次に国内外の再エネ事情や日本が抱える課題について解説します。

ヨーロッパなどの主要国に後れをとる日本の再エネ比率

2017年度、世界主要国の電力に占める再エネ比率を見ると、水力資源が豊富なカナダでは水力発電比率が非常に高いことから65.6%を占めています。また、ドイツ、スペイン、そして イタリアといったヨーロッパの国々でも再エネ比率は30%を超えています。

同じヨーロッパのイギリスは若干低く29.6%です。一方日本は16%程度と、 再エネの普及はヨーロッパなどの主要国に後れを取っています*。

*参照: 2019年9月「国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達 価格等算定委員会の論点案」 – 資源エネルギー庁

日本の再エネは自給率を支える主力電源になりつつある

世界の主要国に比べると日本の再エネ比率は非常に低水準にありますが、2011年に 10.4%だった再エネ率は、2017年に16%に増加しています。原子力発電所の再稼働が進まない中、再生可能エネルギーは日本の自給率を支える重要な主力電源となるべく、着々と発電量を増やしています。

現在の日本における再エネ目標は、2030年までに総電力量の22~24%程度を達成することです。現状のペースを維持して再エネの導入が進んでいけば、再エネ目標の達成が可能なようにみえます。

発電コストの高さや天候などに左右される課題がある

再エネは輸入に頼らない国産エネルギーで、しかも発電時にCO2(二酸化炭素)を排出しないというメリットがあります。一方で、エネルギー密度(単位面積当たりのエネルギー量)が低いため、大規模な 設備や広い土地が必要になります。その他にも天候に左右されやすい等、様々なデメリットもあります。

さらに、再エネの発電コストの高さも問題視されています。再エネの主力電源化に向けて、世界でも比較的高いこの発電コストを低減させる必要があります。世界では再エネ発電コストが急速に低下しています。以上 に挙げた課題等に対して積極的に挑戦し、再エネ導入の更なる加速化が求められます*。

*参照: 2019年9月「国内外の再生可能エネルギーの現状と今年度の調達 価格等算定委員会の論点案」 – 資源エネルギー庁

エネルギーミックス実現に向けた具体的な目標

最後に、2030年エネルギーミックスの実現に向けた数々の目標の中から3つピックアップ し、具体的な目標を紹介します。

ゼロエミッションの電源比率を 44%程度へ引き上げる

再エネや原子力など発電時にCO2を出さない発電方法である「ゼロエミッション」の電力比率は、2016年で16%程度です。現在、その比率は年2%ずつ上昇しています。

今後は再エネの導入を促進したり、世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を通じ、2030年に44%程度まで引き上げることが目標として定められています*。

*1 参照: 平成30年7月「エネルギー基本計画」 – 資源エネルギー庁

エネルギー起源CO2の排出量を9.3億トンまで削減

気候変動に関する国際的な枠組みに「パリ協定」があります。アメリカの離脱もあり、様々な面で大きな注目を集めています。参加国や地域に2020年以降の地球温暖化対策を求めています。対処方法としては二酸化炭素等の温室効果ガスの排出削減が挙げられます。

日本の場合、温室効果ガス排出量の大部分を占めているのが「エネルギー起源のCO2」です。2013年の排出量は12.4億トンです。2016年には11.3億トンまで削減され、年0.4億トン程度のペースで削減されています。エネルギー基本計画では2030年には9.3億トン程度まで減少させるシナリオを想定しています*1。

日本はオイルショックを機に「省エネ法」(「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」)を1979年に制定し、世界最高水準のエネルギー効率の実現と温室効果ガスの大幅な削減を実現してきました*2。そのため温室効果ガスの削減余地は常に論争の的になってきており、今後このペースで持続的に削減されシナリオ通りになるかについては懐疑的な見方も存在します。

*1 参照: 平成30年7月「エネルギー基本計画」 – 資源エネルギー庁
*2 参照:省エネ大国・ニッポン ~省エネ政策はなぜ始まった?そして、今求められている取り組みとは?~ – 資源エネルギー庁

エネルギー自給率を24%まで上昇させる

東日本大震災後、原発停止による火力燃料焚き増しによって化石資源エネルギーへの依存度はさらに高まり、2017年度は87.4%となっています。石油や天然ガス(LNG)、石炭に乏しい日本が、海外からの輸入に大きく依存していることがわかります。

2017年、日本のエネルギー自給率は9.6%でした。世界の主要国と比較してもかなりの低水 準と言えます。2030年までにエネルギーミックスによる努力を重ね、エネルギー自給率を24%まで引き上げる目標を掲げています。

参照:1.どのくらいエネルギーを自給できていますか? | 日本のエネルギー2018「エネルギーの今を知る10の質問」 – 資源エネルギー庁

日本の再エネ戦略

再エネ戦略の基本概念となる、「エネルギー基本計画」を中心に日本の再エネ戦略を見てきました。国内外の事情や具体的な目標にも触れました。

「安全確保を前提として安定的に供給でき、できるだけ経済的にかつ環境保全にも配慮し、 さらに2030年までに最大限の対応を試み、エネルギーミックスで再エネ比率 22~24%を目指す。」

この実現に向かって官民一体となり、様々な取り組みがなされています。

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