再生可能エネルギーについて知っていますか?再生可能エネルギーの定義と種類を全解説!

再生可能エネルギーREアクション
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近年、企業・自治体における再生可能エネルギーへの関心がますます高まる中、そもそも再生可能エネルギーとは何なのか、どのような種類があるのか、意外に知らない方も多いのではないでしょうか。今回は、再生可能エネルギーの定義を明確にした上で、再生可能エネルギーの種類を説明していきたいと思います。ぜひ、今後のREアクション・BCP対策の参考にして頂ければ幸いです。

再生可能エネルギーの概要

最初に、そもそも再生可能エネルギーとは何なのか、その定義をみていきましょう。

再生可能エネルギーとは

再生可能エネルギーとは新エネルギー、自然エネルギーとも呼ばれている電力のことで、以下の要件を満たすエネルギーのことです。

太陽光、風力、その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの

⇒法令においては、太陽光、風力、水力、地熱、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存する熱、バイオマスが挙げられている。

引用元:再生可能エネルギー導入加速化の必要性-環境省

再生可能エネルギーの種類

再生可能エネルギーの導入をいざ検討した時に、具体的にどのような再生可能エネルギーがあるのか疑問に思う方も多いでしょう。各企業や自治体におけるREアクション、BCP対策の参考となるよう、再生可能エネルギーの種類をここで知っておきましょう。

太陽光発電

再生可能エネルギーの中で最も認知度が高いのが太陽光発電です。太陽光パネルの要素である太陽電池に太陽光が当たることで生じる電子の動きから発電する方法です。

太陽光発電の特徴

太陽光発電は、屋根や壁、庭や駐車場・遊休地など空いたスペースに設置できるため、比較的導入しやすい再生可能エネルギーです。太陽光発電は世界で最も普及が進んでいます。

「国際エネルギー機構 IEA」は、2000年~2019年のOECD加盟国における再生可能エネルギーの統計調査を行っています。上記のグラフより、太陽光発電が38.5%、風力が19.5%、次いでバイオ燃料が15.9%と普及が進んでいます。

そしてIEAの見解によると、今後はさらにCO₂規制による再生可能エネルギーの普及が進み、上記のように2040年には世界の電力の25%~30%を太陽光発電が補うと予測されています。

太陽光発電の活用方法

国内の太陽光発電は10kW未満の住宅用と10kW以上の産業用に区別され、活用方法は大きく3つのタイプに分けられます。

  • 自家消費タイプ → 自給自足型。自分で発電し、自分で消費する
  • 余剰売電タイプ → 自分で発電した電気を消費し、余った分は売電する
  • 全量売電タイプ → 発電した電気をすべて売電する

特に最近では、住宅用・産業用ともに蓄電池と組み合わせた自家消費タイプが注目されています*。

*参照:「次世代の自家消費型太陽光発電」とは-環境ビジネスオンライン

太陽光発電の買取価格

2020年度のFIT制度による太陽光発電の買取価格は、10kW未満の住宅用で21円(10年間)、10kW以上の産業用で12円~13円(20年間)となっています。

風力発電

太陽光発電の次に再生可能エネルギーとして認知度が高いのは、風力発電です。風が風車を回すエネルギーを電力へと変換する発電方法です。

風力発電の特徴

風力発電には、安定した風力が得られる山間部や平地、海岸沿いに設置する一般的な風力発電と、海上に設置する洋上風力発電があります。一定以上の電力を得るためには大規模な設備や土地が必要となるため、導入ハードルが高く、国内での普及は欧米や欧州に比べるとやや遅れています。

洋上風力発電が最も盛んな国はイギリスで、次にアメリカ、そして日本と続きます。近年になってから島国である日本でも、海岸沿いを中心に洋上風力発電の普及が進んでいます。2020年10月現在、455か所の風力発電所が設けられています*。

*参照:日本全国の風力発電所-Electric Japan

風力発電の活用方法

風力発電は風さえあれば夜間でも発電が可能で、規模によっては火力発電並の電力を確保することができます。

風力発電の種類は

  • ウインドファーム → 広大な山間部や海岸沿いに設置
  • 沿岸の洋上風力発電 → 沿岸や港で陸上同様に管理できる場所に設置
  • 着床式洋上風力発電 → 海底に支柱を立てて海上に設置
  • 浮体式洋上風力発電 → 船のように海上に浮体させて設置
  • 小型風力発電 → 建物や施設の一部や街灯などに設置

などがあり、数万kWの大規模な風力発電をイメージしがちですが、補足的に電力を賄うための10kW以下の小型風力発電など様々なタイプがあります*。

*参照:世界最高性能の小型風力発電システム-NEDO

風力発電の買取価格

出典:風力発電 固定買取制度-資源エネルギー庁

風力発電の買取価格は、2020年度は陸上で16円~18円、浮体式洋上風力は36円と高めの設定で、着氷式洋上風力は入札制度で価格が決定します。買取期間はいずれも20年間となります。

バイオマス発電

バイオマス発電は、動植物などの生物資源、ゴミなどの廃棄物資源を燃料とした再生可能エネルギーです。直接燃焼させたりガスを利用して燃焼させることで発電する方法です。

バイオマス発電の特徴・活用方法

バイオマス発電は家畜の排泄物から建築資材の残材、不要になった野菜や食物など実に幅広い資源を有効活用することができます。間伐材や家畜の排泄物のような資源は多くが地域の農村や漁村に存在しているので、これらをエネルギーとして利活用できれば、エネルギー関連の新しい産業を地域に生み出すことができます。

バイオマス燃料は、自動車や船舶、航空機など輸送機の燃料としても期待され、IEAの観測によると2030年は約3倍以上に成長するといわれています。国内でも地域の林業や農業、食品工場や自治体の廃棄物処理などに特化したバイオマス発電が増えてきています*。

*参照:地域活性化にもつながる「バイオマス」-資源エネルギー庁

バイオマス発電の買取価格

バイオマス発電のFIT制度の買取価格は、資源ごとに異なります。2020年現在、廃棄物は17円、建材廃棄物は13円、木質バイオマスは種類により24円~40円、メタン発酵ガスは39円となっています。また、入札制度により価格が決定するものもあります。買取期間はいずれも20年間です。

水力発電

世界的な規模では水力発電はまだそこまで普及が進んでいませんが、国内では水力発電は太陽光発電に並ぶシェア率となります。

水力発電の特徴・活用方法

日本は気候的に水資源に恵まれた国で、ダムや河川を活用した水力発電が昔から盛んでした。農業用水路、水道局の水道管、下水処理水、工場やビルの排水・水道管を活用した水力発電もあります。

2016年までは、水力発電のシェア率は再生可能エネルギー全体の大半を占めていました。一度発電所を設置すれば数十年に渡って長く運用できる一方で、事前調査に時間がかかり、地域住民からの理解や協力が不可欠となる難しさもあります*。

*参照:導入事例-全国小水力利用推進委員会

水力発電の買取価格

水力発電の固定買取価格は、2020年度で200kW未満が25円~34円。200kW以上になると出力量に応じて12円~29円となっています。買取期間はいずれも20年間です。

地熱発電

地熱発電は火山の熱を利用して発電する再生可能エネルギーです。世界有数の火山大国である日本では、戦後から地熱発電の開発が行われてきました。

地熱発電所が本格的に稼働し始めたのは1966年で、温泉でも有名な東北や九州を中心に徐々に展開してきました。電力として発電せずに、地熱を熱源として利用する方法もあります。総発電量はまだ少ないものの、安定して発電ができる純国産エネルギーとして注目されています。

参照:再生可能エネルギー 地熱発電-資源エネルギー庁

地熱発電の買取価格

地熱発電の買取価格は、2020年現在15,000kW未満で19円~40円、15,000kW以上は12円~26円。買取期間はいずれも15年間です。

太陽熱

太陽熱は太陽光を一箇所に集めることで生じる熱エネルギーを太陽集熱器に集め、熱媒体を暖め給湯や冷暖房に活用するシステムです。基本的に売電のシステムはありません。また機器の構成がシンプルであるため、古くから利用されています。

参照:再生可能エネルギー 太陽熱利用-資源エネルギー庁

雪氷熱

雪氷熱は冬の間の雪や氷を保管しておいて、冷却する際に利用します。寒冷地に降り積もった雪を除雪・融雪する費用を抑え、本来なら処分する雪や氷を有効活用できます。チルド倉庫や工場や施設の冷熱源として使われています。

参照:再生可能エネルギー 雪氷熱利用-資源エネルギー庁

温度差熱

温度差熱は地上の温度と地下水や河川などの水の温度差を利用します。夏場は水の温度が低く、冬場は水の温度が高くなる仕組みを利用したもので、水の持つ冷却熱や温暖熱をヒートポンプを用いて活用します。建設工事のコストがかかるものの、一般居住地にて導入しやすいため、都市型エネルギーとして拡大しつつあります。

参照:再生可能エネルギー 温度差熱利用-資源エネルギー庁

その他エネルギー

その他にも、様々な再生可能エネルギーへの取り組みが行われています。

再生可能エネルギーに関する情報は「資源エネルギー庁の公式サイト」からも詳しくご覧になれます。合わせて参考にして下さい。

再生可能エネルギーが経済成長へのカギ

最近では、続く猛暑や暖冬、多発する大雨や台風などで、地球温暖化を肌で感じている方も多いのではないでしょうか。エコバッグを利用するなど、1人1人の自然環境への取り組みが常識となりつつある中、企業や自治体におけるREアクション、BCP対策はもはや社会的義務だといっても過言ではありません。

これからの企業や自治体の成長は、いかに再生可能エネルギーを取り込んでいくかが大きなポイントになるでしょう。それぞれの立地条件や予算、周囲の環境から最も取り組みやすくコスト対効果が高い発電方法を検討していきましょう。

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