再エネのグローバルスタンダード!RE100が定める「再エネ導入の6つの方法」!

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あなたは、企業の再生可能エネルギー100%を推進する国際的な取り組み、「RE100」を知っていますか?RE100には、日本をはじめ、世界中の多くの大企業が加盟しています。

RE100公式サイトでは日本市場への期待の高さから、「2030年に非化石シェア44%の目標を達成できる」という期待がこめられた市場概況レポートは、英語と日本語で記されています。

今回の記事ではRE100について解説するとともに、RE100加入で求められる再エネ基準について紹介します。

RE100とは?

「RE100」とは、「Renewable Energy 100%」の頭文字を取った言葉で、2014年国際環境NGOのThe Climate Groupによって発足された国際イニシアチブです。現在は、世界主要企業の気候変動に対する取り組み状況を収集するNGOのCDP(Carbon Disclosure Project)と共に運営しています*1

RE100が目標としているのは、「2050年までに企業が事業活動に使用するエネルギーを、再生可能エネルギー(以下、再エネ)で100%賄う」こと。

「再エネ調達率100%」という数値は、サプライチェーン(原材料から販売・消費までの全工程)を含めて達成する目標です。RE100の加盟企業だけではなく、中小零細企業への影響もあることから関心が集まっています*2

2020年10月8日現在、RE100にはGoogleやApple、P&Gなど、263社にのぼる有名企業が加盟しており、日本からもリコーやソニーなど40社が名を連ねています*3

*1参照:RE100 – 自然エネルギー100%プラットフォーム
*2参照:RE100とは?目的や参加条件 – Energy-Shift Navi
*3参照:RE100加盟企業一覧 – サステナ

RE100が定める再エネ基準

RE100では再エネを定義する「技術要件(Technical Criteria)」が設定されています。再エネ電力の定義は、太陽光(太陽熱)、風力、水力、バイオマス(バイオガス含む)となっており、調達手法としては以下の6つが挙げられています。

  1. 自家消費:企業が保有する発電設備の電力を利用する。
  2. 購入:サプライヤー(電力供給事業者)が保有する設備から購入する。
  3. 購入:敷地外から自営線で直接供給する。
  4. 購入:系統接続を利用して敷地外から供給する。
  5. 購入:自然エネルギーを提供するサプライヤーと契約をする。
  6. 購入:分離型契約証書を購入する。

各調達方法の「定義」や「証明方法」について、以下で詳しく解説していきます。

①自家消費:企業が保有する発電設備の電力を利用する

再エネの調達手段として、まずは企業が保有する発電設備による利用が挙げられます。

自家発電で再エネを賄うケースでは、企業の敷地内外を問わず、企業保有の設備から発電されたすべての再エネ電力を含みます。敷地内か敷地外か、系統接続されているか、されたいないかは問われません。

【証明方法】

企業は、再エネ電力の使用量を証書を含め、開示する必要があります。再エネ電力の利用を証明するためには、自家発電の属性証明(証明書利用者のアクセス権限を証明するもの)を自ら保有する必要があります。属性証明の仕組みがない市場では、自社設備の再エネ電力を「他の法人が利用しない」ことを保証する必要があります。

②購入:サプライヤー(電力供給事業者)が保有する設備から購入する

自家消費以外の再エネ調達手段としては、企業が保有しない発電設備から取得、つまり購入する方法があります。

最初の方法は自社の敷地内にあるが、電気供給事業者が保有、または運用している設備で発電された再エネ電力を使用する方法です。いわゆる第三者保有(TPO)モデルを指しますが、日本ではPPAモデルと呼ばれることが多いです。

この場合の再エネ電力利用を証明するためには、電気を供給する企業との電力供給契約で再エネであることを裏付ける必要があります。

【証明方法】

第三者が保有する発電設備からの再エネ電力を直接利用する場合、発電設備が系統には接続されておらず、電力消費量が計測されているのであれば、属性証明を行う必要はありません。

ただし、発電設備が系統に接続されている場合は、属性証明は再エネ電力を利用する企業が直接、獲得、保有するか、または 小売電気事業者などによってその企業のために償却される必要があります。日本では非化石証書の購入、償却システムがこの部分に相当すると考えられます。

属性証明のシステムがない市場では、再エネ電力の属性が、電力利用を証明する企業に契約上移転され、保有されます。その企業以外の法人が、発電設備による再エネ電力の利用を証明することはできません。

③購入:敷地外から自営線で直接供給する

企業の敷地外に設置されている、第三者が保有または運用する発電設備から、自営線(発電所から電力連系点までを結ぶ送電ルート)を通じて直接再エネ電力を供給する方法です。企業が証明する再エネ電力の利用状況 は、プロジェクトの所有・運用者との電力供給契約によって裏付けされることになります。

【証明方法】

企業の敷地内に設置された、第三者保有の設備から供給される再エネ電力については、直接利用したことを証明する際、系統接続されておらず、かつ消費電力が計測されているのであれば、属性証明を発行する必要はありません。このような場合に発行されたその他の属性証明は、保有または償却されなければなりません。

④購入:一般送電設備を使用して敷地外から供給する

電力購入契約(PPA:Power Purchase Agreement)として知られている直接調達契約では、エネルギーを購入する企業と発電事業者の間で契約をします。契約することで、再エネ属性を持つ特定の再エネプロジェクトによって発電された電力の購入が、保証されます。

PPAには主に「仮想的PPA」と「物理的PPA」という2つの種類があります。

  • 仮想的PPAでは、設定した電力価格をもとに差金決済取引を行います。電力は地域の電力会社から提供され、再エネの属性は購入した企業のものとなります。
  • 物理的PPAでは、電力を購入した企業は、電力供給のスケジュールを決めたり、他の契約条件を設定することができます。

あらゆるPPAでは、電力の属性証明は証明方法の推奨条件に従って裁定取引(地域や国を超えて金利差や価格差を利用して利益を得る取引)が可能です。発電設備が第三者によって保有されている場合(例えば、共同所有する太陽光などの再エネ電力など)も、「一般送電設備を使用した敷地外からの供給」と見なします。

【証明方法】

特定のプロジェクトによって発行された属性証明は、企業に移転されて償却されるか、企業に代わって償却しなければなりません。属性証明が裁定取引された場合、その企業の再エネ利用の証明は購入、保有、償却した属性証明に紐づた分だけ行うことができます。

企業が再エネ属性を他の法人に売った場合、再エネ利用を主張することはできません。証明書や追跡システムがない国では、属性の移転を契約で行うか、その再エネに紐づく再エネ証明が唯一一つだけであり、属性の二重カウントがない、ということを保証するシステムのもとで特定される必要があります。

⑤購入:自然エネルギーを提供するサプライヤーと契約をする

再エネ電力を提供する供給者は、電力調達の契約で、企業の電力利用と系統を通じて様々な電源やプロジェクトによる再エネ電力の供給を一致させます。契約は、消費者に供給する再エネ電力の量や質に応じて、様々な形態があります。このような種類の契約は、グリーン電力商品や、グリーン電力料金と呼ばれます。

【証明方法】

再エネの供給者は、再エネ電力の証明を利用する企業に代わって属性証明書を購入し、保有または償却しなければなりません。追跡システムが利用できない国では、再エネ属性の証明は、移転契約で行うか、再エネの主張が唯一であることを保証するシステムで行われる必要があります。

属性証明の排他的な所有権や正確な移転を保証するために、小売商品や製品は第三者による証明を受けるか、検証される必要があります。(例:米国やカナダにおける Green-E のグリーン電力認証プログラム)。

⑥購入:分離型契約証書を購入する

企業は、同じ市場で稼働している再エネ発電設備によって発行された電力属性証明書を取得することにより、再エネ発電の環境上の利点を主張できます。

企業は、北アメリカのRECs、ヨーロッパの発電源証明Guarantee of Origin、その他地域のI-RECsなどの電力と分離した証明書を別で購入し、再エネ以外のエネルギー源による電力消費に割り当てることができます。

【証明方法】

企業は購入した証書を償却するか、その企業のために償却されなければなりません。販売製品については認証されるか、もしくは販売に関して第三者から検証を受ける必要があります。証書の正確な移転と、属性の唯一性をを保証するための措置です。証書が直接購入され、認証プログラムを利用していない、もしくは利用できない場合は、独占的利用の証明について検証を受ける必要があります。

購入におけるその他のオプション

企業における再エネ電力の取得方法が上記6つにあてはまらない場合、RE100テクニカルアドバイザリーグループが内容を確認し、RE100運営委員会がそれらの妥当性について決定します。

【証明方法】

その他のオプションで再エネ利用を証明する場合、企業はRE100レポートガイダンスと、テクニカルアドバイザリーグループからの推奨事項を考慮する必要があります*。RE100のテクニカルアドバイザリーグループは、RE100の技術要件の定義に責任を負っており、2020年10月31日現在、CDPのシニアディレクターをはじめとする8名で構成されています。

*参照:RE100 Technical Advisory Group – RE100

RE100の条件を参考に再エネ導入を検討する時代

この記事では、RE100が加入基準として求めている6つの再エネ導入方法について解説しました。ビジネスの規模に関わらず、遅かれ早かれ再エネを利用しなければならない時代はそこまで来ています。

今回紹介したRE100の再エネ利用を証明する6つの方法は、世界標準となる方法で日本でも様々な方法が模索されています。この記事を参考に、自社にあった再エネの導入方法は何か検討してみましょう。

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