太陽光発電の新たな取り組みと課題~再生可能エネルギーの将来

再生可能エネルギーREアクション
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RE ActionやSDGs対策が注目される中、企業や自治体が再生可能エネルギーに大きな関心を示しはじめています。

東日本大震災をきっかけに国内では太陽光発電の普及拡大が進むとともに、様々な企業、自治体が太陽光発電を絡めた新たな取り組みをはじめています。

今回は、企業や自治体が行っている太陽光発電・再生可能エネルギーへの取り組みや、太陽光発電の活用方法、将来の可能性、今後の課題に焦点をあてて解説していきます。

電気の自由化

おそらく、これから太陽光発電の導入を検討する多くの企業や自治体にとって、一番の懸念材料となるのがFIT制度が終了した後の対策ではないでしょうか。

FIT制度とは

FIT制度とは固定価格買取制度とも呼ばれるもので、一定の期間、電力会社が固定価格で電気を買い取ってくれる制度です。

出典:固定価格買取制度・FIT制度 – 資源エネルギー庁

FIT制度の対象となる再生可能エネルギーは太陽光発電・風力発電など、5種類になります。一般的に法人・団体が導入する太陽光発電は10kW以上の企業用・産業用の太陽光発電となり、FIT制度では次のような買取制度が適用されます。

事業用太陽光発電の買取価格・買取期間

出典:固定買取価格制度 – 資源エネルギー庁

2020年のFIT制度では、10kW以上の太陽光発電の場合で買取価格が13円/kW、買取期間が20年間です。小規模な事業者で10kW未満の太陽光発電を設置したとすれば、買取価格が21円/kW、買取期間は10年間となります。

では、FIT制度が終了した後はどうなるのでしょうか。電気は売れなくなるのでしょうか。そこで、FIT制度が終了した後の展開として考慮しておきたいのが電気の自由化と電気小売り事業者への電気の売電です。

電気の自由化とは

これまでの概念から、電気は地域の電力会社から調達するものと認識している方は多いでしょう。しかし、実際には「2016年に電気の小売り全面自由化」が実施され、今は電力会社以外でも電気を自由に売買できるようになっています。

一般家庭から商店・中小企業、大企業、工場、商業施設など、規模を問わず誰でも自由に電気の供給会社や売電先を選ぶことが可能なのです。電気を購入する側も、売却する側も、必ずしも電力会社に固執する必要はないわけです。

従って、仮にFIT制度が終了したとしても、電気を買い取ってくれる業者を電力会社以外でも探すことができます。

電気小売り事業に参入している企業・自治体

2020年6月現在で電気小売り事業に参入している企業・自治体は全部で655事業者*1、その中で電気の買取を行う事業者は大手電力会社も含め約50社*2となり、増加基調にあります。

電力の買取を行う企業や自治体には以下のような事業者があります。

  • 伊藤忠エネクス株式会社
  • 出光興産株式会社
  • エネックス株式会社
  • 全農エネルギー株式会社
  • コープ電力株式会社
  • 株式会社Looop
  • 宮崎電力株式会社
  • 新電力おおいた株式会社

など、大手企業からローカルな事業者まで様々なタイプの電気小売り事業者が電力の売買を行っています。

*1参照:登録電気小売り事業者一覧資源エネルギー庁
*2参照:売電できる事業者 – 資源エネルギー庁

今後の展望と課題

ただ現状では、電気小売り事業者への売電価格は10円/kW前後である場合が多く、ほとんどの場合、FIT制度の買取価格よりは安くなるのが難点です。

今後の展望としては、電気小売り事業者の参入・競争が激しくなることが予想されています。そうなれば、市場の電力相場に価格が上乗せされるFIP制度が進み、買取価格の上昇が期待できます。価格の上昇要因にはFIPによる価格の上乗せだけでなく、RE100やRE Actionに対応すべく企業が再生可能エネルギーを特別に必要とし、電力取引市場で需要と供給のバランスが崩れることで価格上昇のトレンドが生まれる可能性も考えられます。

蓄電池の活用

太陽光発電の売電を将来的に、電気小売り事業者にて行うことが1つの選択肢ですが、他にも蓄電池を活用する方法もあります。

蓄電池とは

蓄電池とは、太陽光で発電した電気や、電力会社から送電される電気を貯めておける電池のことをいいます。蓄電池には、携帯電話が充電できる程度の小さなものから、工場や施設向けの大型のものまで、様々な容量があります。

蓄電池の活用方法

企業用・産業用の蓄電池の活用方法で最も一般的なのが、事業用の電力を蓄えておく方法です。

太陽光発電は、基本的に日照している間しか発電することができません。しかし、蓄電池に発電した電気を貯めておけば、夜間や天候が悪い時でも太陽光の電気が使えますので、100%自給自足での電力供給が可能*です。ハイブリッドカーやEVへの燃料供給*にも使用することもできます。

また、災害時などの緊急用に備えるBCP対策として、蓄電池を活用する方法も注目されています。

*参照:蓄電池は次世代エネルギーシステムの鍵資源エネルギー庁

今後の展望と課題

現在の蓄電池は、小型のものを除くと簡単に他の場所に移行して使用することがができません。遊休地などで発電した太陽光の電気をいかに他所へ移動させるかが今後の課題だといえます。

今後は、大容量の蓄電池でも場所の移行が簡単にできる技術・システムの開発が期待されています。

企業・自治体の取り組み

次に、企業や自治体では太陽光発電を活用してどんな取り組みが実行されているのかを参考までにご紹介します。

シャープと丸紅 余剰電力買取単価を大幅改定

シャープエネルギーソリューション株式会社と丸紅ソーラートレーディング株式会社は、協業のもと従来の余剰電力買取価格にプレミアム価格を上乗せした買取価格でのサービスを開始しました。

出典:余剰買取価格 – 丸紅ソーラートレーディング

上記の買取価格はシャープ製の太陽光発電を設置済みの方、またはシャープ製の蓄電池を購入した方が対象とはなるものの、他社に比べると圧倒的に高い買取価格となっています。

太陽HD 水上太陽光発電

遊休地や農地、駐車場など空いた土地を活用した太陽光発電は以前から聞かれていましたが、池や貯水池を活用した太陽光発電も登場しています。太陽HDは、太陽光発電をため池や貯水池などを活用した水上太陽光発電の開発に取り組んでいます。

出典:10か所目の水上太陽光発電を三重県に設置 – 太陽HD

上記の水上太陽光発電は三重県のプロジェクトで、国内では埼玉県嵐山町なども含め10か所目の設置となります。山林地にて森林を伐採しての太陽光発電では、近隣住民からの反対が目立っていたことから、太陽HDは貯水池などを活用した水上太陽光発電に注目したとのことです。

Panasonic ソーラーウインド街路灯

屋根に載せるような大型の太陽光発電でなくとも、街路灯などで風力発電もかねたソーラーパネルを設置することも可能です。

出典:ソーラーウインド街路灯 – Panasonic

Panasonicでは太陽光発電と風力発電の2つの自然エネルギーを活用した街路灯を開発しています。

日照が少ない時でも風力発電が電力をカバーして、ほぼ毎日夜間の点灯を実現してくれます。備え付けの小型蓄電池に太陽光と風力で発電した電気を貯めておく仕組みになっています。電気代ゼロ円で街路灯が設置できるのです。

福岡県みやま市 みやまスマートエネルギー

福岡県みやま市は、筑豊銀行と九州スマートコミュニティと共同出資にて、電力小売り事業「みやまスマートエネルギー」を設立しました。自治体では電力売買を主な目的として設立された日本初の事業者です。

出典:みやまスマートエネルギー – みやま市

みやま市では、太陽光発電などの再生可能エネルギーを中心に地域におけるエネルギーマネジメントを100%地域住民で賄うことを目標にしています。一般家庭用の低圧電力から企業の高圧電力まで幅広く対応できる電力の販売・買取サービスを提供しています。

自治体と民間企業による地方創生のモデルケースとして先駆的な存在です。

今後の展望と課題

太陽光発電の歴史はまだ始まったばかりで、前例がない新しい分野です。今後は、さらにコスト対効果に優れた設備開発や、FIT制度に依存しない電力の活用方法など無限の可能性を秘めているといえます。

再生可能エネルギーが広く一般的に普及するにあたっては、自治体、民間企業、地域住民と相互の理解協力が得られることが今後のキーワードとなるでしょう。

原子力発電とその他エネルギーの動向

将来的に太陽光発電の売電価格がどうなるのか、再生可能エネルギーの需要がどうなるかは、原子力発電や石油・石炭などのその他エネルギーの動向にも左右されるといえます。

原子力発電の動向

原子力発電はウランの核分裂反応を利用した発電方法です。少量で大量の電力が発電可能でCO₂も排出しないメリットがある反面、放射能が人体や自然環境に致命的な影響を与えるリスクも抱えます。

東日本大震災以前には54基あった原子力発電所は、震災後の新規制にともない稼働停止・廃炉が続き再稼働したのは9基です。さらに2020年6月時点ではわずか5基へと大幅に減少しています。

出典:原子力発電所の稼働状況 – 資源エネルギー庁

原発への慎重な姿勢は世界中に存在し、今後はますます太陽光発電などの再生可能エネルギーへの依存が高まると予想されます。十分な電力を確保するにあたって、一定以上の電力の買取価格が保たれることが期待できるでしょう。

その他エネルギーの動向

日本が最も輸入に頼らざるを得ないのがガソリンや軽油などの車の燃料となる原油です。日本は原油の99.7%を中東などからの輸入に依存しています。

天然ガスは97.5%、石炭も99.3%が海外からの輸入です。

出典:日本の化石燃料輸入先 – 資源エネルギー庁

しかし、これらの原油、天然ガス、石炭などの化石燃料はやがて国際的な地球温暖化対策によってクリーンな再生可能エネルギーへと移行していくことが計画されています。

すでに欧州では、CO₂を大量に排出するディーゼル車の製造が禁止され、世界的に電池を燃料とするハイブリッドカーやEVへと切り替わる動きが見られています。将来的にはこれまでの化石燃料にとってかわる大量な再生可能エネルギーが必要とされる時代が訪れるでしょう。

今後の展望と課題

再生可能エネルギーの需要は将来的に必ず高くなると予想はされるものの、コスト的な問題や供給の安定性などから、100%再生可能エネルギーだけで現代人の生活のすべてを賄うことは難しいのが現状です。

今後、どのような方法で自然の力から低コストでかつ安定したエネルギーを確保していくのかが21世紀の課題となっていくでしょう。

エネルギーの将来を紐解く「RE Action」

車の燃料をはじめ、多様なエネルギーを必要とする現代。廃棄が困難な核燃料や、CO₂を大量に排出する化石燃料などから、世界は深刻な環境問題に直面しています。

今、企業や地域経済の成長と発展は、地域社会や自然環境への貢献なしに成り立たないといわれるエコロジーの時代です。

まさに再生可能エネルギーの将来は、企業や自治体のSDGs対策・RE Actionによって、より実現可能なものへと進展していくことが期待されているのです。

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