地熱発電の基礎知識
地熱発電とは
地熱発電は、地下のマグマの熱を利用して発電する方法です。マグマの熱から生じる蒸気エネルギーが、タービンと呼ばれる機器の羽根を回す回転エネルギーから電気が創出されます。
日本は有数の火山大国なので、1966年からすでに地熱発電の開発が行われてきました。現在では、東北や九州を中心に展開しており、総電力量はまだ少ないものの、国産エネルギーとして注目されています。
太陽光発電や風力のように、天候に左右されないため、日中・夜間と年間を通して安定した発電量を得ることができます。しかしながら、再エネの分野でもまだ新しいジャンルで、設備や開発には多大な時間とコストがかかる発電方法となります。
地熱発電の仕組み
地熱から発電する方法は、まず、地下のマグマ付近にある「地熱貯留層」といわれる熱地帯から「地熱」を蒸気で取り出します。蒸気で取り出した熱を「タービン」と呼ばれる発電システムで使用可能な電力をつくります。
「タービン」で創られた地熱の電気は発電システムから送電ケーブルに送電されます。
地熱発電の普及状況
世界の地熱発電容量ランキング
世界的な規模でも、まだ地熱発電はそこまで普及していないのが現状で、ごく限られた国でしか導入されていません。2019年の時点で設備導入済みの地熱発電の容量は米国が一位、インドネシアが2位、続いてトルコ。日本は地熱発電では上位にランクインしています。
参照:nstalled geothermal energy capacity – Our World in Data
上位にランクインする日本においても地熱発電が国内総電力量を占める割合は、わずか0.2%と微々たるものです。設備技術の進展による、導入コストや開発コストの低下が今後の課題だといえます。地熱の潜在発電能力では、インドネシアに次いで3位にランクインしていますので、今後の普及促進が期待されています。
国内の主な地熱発電所
国内の代表的な地熱発電所は、温泉地でもある東北・九州に集中しています。国内最大の地熱発電所は大分県の八丁原発電所で電力容量は11万2,000kWを誇ります。
地熱発電の豆知識
世界で初めて地熱発電所が誕生したのはイタリアです。1904年にイタリア・ラルデレロ地域にて世界初の地熱発電の実験が成功しました。その後、イタリアの地熱発電は12万kWを超える規模に成長しましたが、第2次世界大戦にて消失したとのことです。
日本では、1919年に大分県別府市で初めて地熱発電の基盤となる噴気孔が掘削されました。戦後までは大きな発展は見られず、1966年に日本初の地熱発電所となる、岩手県松川地熱発電所が稼働開始しています。松川地熱発電所は、国内では最も古い地熱発電所で50年以上の歴史を誇ります。