SDGsトレイン運転開始!多くの企業や自治体が取り組むSDGsとは?

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阪急阪神、東急2社によって、SDGsを企業や自治体さらには地域住民向けにメッセージを掲げたラッピング列車「SDGsトレイン2020」が運行されることになりました*。通常とは異なるデザインの列車を見て気になっている方も多いのではないでしょうか。

*参照:再エネ100%の「SDGsトレイン」運行へ-環境ビジネスオンライン

今回は、SDGsとはそもそも何なのか、SDGsトレインが掲げる目標やメッセージ、そして参加する企業や自治体のSDGsの取り組みをご紹介していきます。

各企業・自治体におけるSDGs対策の参考にして頂ければ幸いです。

SDGsトレインとは

大阪・関西を拠点に鉄道など各種事業を経営する阪急阪神ホールディングス。そして東京・関東を拠点に交通サービスなどの事業を経営する東急グループ。関西・関東を代表するこれら大企業は国、自治体、地域団体と連携して、100%再生エネルギーで走行する「SDGsトレイン2020」の運行を始めました*。この列車の運行は2021年9まで行われる予定です。

*参照:阪急×阪神×東急が協働 ラッピング列車「SDGs トレイン2020」を9月8日(火)より運行します!- 阪急阪神ホールディングス株式会社、東急グループ

SDGsとは

2015年9月、161の国連加盟国のもとで「持続可能な開発のための2030年アジェンダ」がニューヨークで開催され、17の目標と169項目のターゲットが制定されました。

17の目標と169項目のターゲット

17の目標は大きく以下の3つのテーマによって定められています。

  1. 貧困、飢餓、教育
  2. エネルギーや資源の有効活用、働き方の改善、不平等の解消
  3. 地球環境や気候変動

社会・経済・環境と世界が直面する多種多様な課題への17の目標、そして具体的に解決すべきターゲット169項目が明確に打ち出されています。

出典:持続可能な開発目標(SDGs)と日本の取り組み-外務省

国連サミットで制定されたSDGsは、世界193か国にて合意され2030年を達成年度としています。

各国が国境を越えて団結して取り組むだけでなく、一人ひとりの行動や一歩を踏み出す勇気が私達の未来のために、今切実に求められています。

SDGsトレインの目標とメッセージ

SDGsと聞いても、まだ具体的なイメージが掴めない方も多いと思います。そこで、企業・自治体のみならず、地域住民にもSDGsを認識してもらいたいとの思いで始まったのが「SDGsトレイン2020」です。

SDGsトレイン「未来のゆめ・まち号」

阪急電鉄、阪神電車では2009年から開始している「ゆめ・まちプロジェクト」と並行してSDGsのメッセージを車両のデザインやポスターにて届けています。各種省エネ装置・LED照明を採用した車両には100%再生エネルギーが使われています。

ポスターでは、まず国連サミットで制定された「SDGsって何だろう?」という疑問から始まり、1つ1つの目標をカジュアルでわかりやすいポスターにて提示しています。例えばSDGsの「目標13 気候変動に具体的な対策を」や「目標14 海の豊かさを守ろう」などと言われても漠然としていて、何をすればよいのか戸惑うと。

出典:SDGsロゴと目標-阪神阪急ホールディングス株式会社

そこで一歩踏み込んで、「目標13 公共個通機関の利用で貢献できる」「目標14 プラスチックごみの削減で貢献できる」などと問題提起するだけではなく、現在の統計データや目標に近づくために何ができるのかをポスターにて提示していきます*。

*参照:SDGトレイン ゆめ・まち号-阪神阪急ホールディングス株式会社

SDGsトレイン「美しい時代へ号」

東急電鉄では、車両のデザインに輝く未来を象徴した光沢のあるモザイク模様を採用してSDGsのメッセージを発信しています。車両の電力には新電力の東急パワーサプライのカーボンオフセット、東北自然エネルギーの風力・地熱発電を採用。東急世田谷線は2019年3月の時点ですでに再生エネルギー100%を実現しています*。

*参照:東急パワーサプライ

出典:WE DO ECO. 広告シリーズ-東急グループ

東急グループにて2000年から開始されている交通広告シリーズ「WE DO ECO.」では、緑化活動や資源リサイクルなど環境への様々な取り組みを紹介しており、SDGsトレインプロジェクトでさらにメッセージが強化されていきます。

東急グループのネットスーパーでは、食品トレー・ペットボトル・牛乳パックなどのリサイクル資源を回収していたり、東急グルメでは食品の残りを堆肥に活用するなど、広告を通して環境へ貢献するアイデアを啓発しています。

企業・自治体のSDGsの取り組み

「SDGsトレイン2020」には、関西・関東をメインに自治体・企業、地域団体など数多く参加しています。それぞれのSDGs対策への足掛かりとなるよう、実際に参加している企業・自治体の取り組みをいくつか見ていきましょう。

SDGs事例1 株式会社クボタ

SDGsトレインの協賛会社でもある株式会社クボタは、トラクター・コンバインなど農業機器で創業130年を迎える老舗系大企業です。クボタは完全無人で電動式自動運転の農機や、遠隔操作やドローンを活用したスマート農業システムなど農業の省力化・人手不足に貢献する自社製品を多数開発しています。経営と社外活動とともにSDGsに積極的に取り組んでいる代表的な企業の1つです。

創業130年を記念して、あらゆる農業の課題と環境問題を解決すべくカーボンフリーで完全無人のコンセプトトラクターを公開しました。AIが天候や生育状況を分析し、適切に農作業を行い、ソーラーバッテリーとリチウムイオン電池ですべての電力を賄います。

グローバルな規模で社会貢献を行うクボタは、2010年に環境保全に取り組むトップランナー企業として環境大臣より「エコファースト企業」に認定されています。本社・支社・工場など敷地内に植樹や緑化を進めたり、地域住民との連携で清掃活動や野生動植物の保護活動を行っています。

SDGs事例2 特定非営利活動法人 プラスチックフリージャパン

特定非営利活動法人プラスチックフリージャパンは、SDGsトレインの企画に参加する一般社団法人SDGs市民社会ネットワークの加盟団体です。非営利活動を目的とした「プラスチックごみ削減」の意識啓発と実践で社会に深く貢献しています。

レジ袋、飲食用プラスボトル・トレイ・容器など使い捨てるプラスチックが世界中であふれています。分解されないプラスチックのごみ問題は今世界が直面している深刻な問題の1つです。プラスチック容器の製品を「作らない」「買わない」「捨てない」がプラスチックジャパンのモットーです。

プラスチックフリージャパンでは海洋汚染防止キャンペーンの一環として、ステンレス製のストローの販売が企画されました。売上げの一部はSDGs活動資金として寄付されています。

SDGs事例3.神戸市

出典:神戸市に国連SDGsのイノベーション拠点-CNET Japan

SDGsトレインに参加する自治体で注目したいのが神戸市です。神戸市は2019年11月に国際連合機関UNOPSのSDGsグローバル・イノベーションセンター(GIC)の拠点として選任されました。

神戸市は以前から海外からの移住者が多い地域です。現在でもシリコンバレーのベンチャーキャピタルとの提携プラグラム「500 KOBE ACCELERATOR」や、自治体とスタートアップ企業が地域も問題解決において協同する「Urban Innovation KOBE」など、経済活性化に向けて積極的な取り組みを実施しています。

アジア圏におけるSDGs対策の国際的窓口となるに相応しい地域として神戸市が選ばれました。

神戸市ではSDGsの17の目標達成に向けて「神戸市マスタープラン」を施策しています。神戸市マスタープランでは4つの基本方針を打ち出しています。

  1. 低炭素社会の実現
  2. 循環型社会の実現
  3. 自然共生社会の実現
  4. 公害のない健全で快適な地域環境の確保

神戸市は六甲山や瀬戸内海など自然環境に恵まれ、晴天日数や日射量が豊富です。自治体による「KOBEろっこう・かもめ発電」が設立され、太陽光発電などの開発・導入が推進されています。市の施設173か所、小中学校114か所にすでに導入されています。

また、国際貿易が盛んで大学や企業の研究開発機関が多い土地柄を活用し、水素エネルギー、バイオマス、燃料電池自動車など多彩な再生エネルギー開発に取り組んでいます。

SDGsは身近にできることから

SDGsは貧困、教育、エネルギー、自然環境など17の目標から構成され、課題となるテーマは実に多岐に渡ります。いざSDGs対策に取り組みたいと検討した時には、何から手をつければよいのか戸惑う企業や自治体も多いでしょう。

すべての目標を一気に解決しようと背負い過ぎないことが、上手に取り組むコツだといえます。まずは身近に手の届く範囲で、「紙資源をリサイクルする」「鉢植えを1つ購入する」「企画書のタイトルを書く」など簡単にできることから始めてみることがSDGsを実現していく第一歩だといえるでしょう。

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