サプライチェーンに激震!GHG Scope3を念頭におくSBT加盟企業の環境対策

REアクション
この記事は約9分で読めます。

SDGs、REアクション、そしてSBTとCO₂削減への具体化が迫られている中、SBTイニシアティブへの加盟を計画する大手・中小企業が増えています。しかし、いざSBTに取り組もうとしても、なにをしたら良いのかわからない企業も多いはずです。今回は具体的に、SBTで世界を先導しているグローバル・大手企業の取り組み事例を紹介していきます。

世界の大手企業では今、GHG Scopeを中心にサプライチェーンを含めた包括的な環境対策を計画し、実行に移そうとしています。この記事を参考に、自社の取引先がどのような動きをしていそうか、そしてそこに合わせるためにどのような行動を起こしていくべきか、考えるきっかけになれば幸いです。

SBT事例1:Coca-Cola HBC

出典:flickers

まず代表的なSBT認定企業として、「Coca-Cola HBC」を紹介します。「Coca-Cola HBC」は、世界の誰もが知る飲料メーカー、コカ・コーラの製造・販売部門です。

会社概要

会社名:Coca-Cola HBC(Hellenic Bottling Company)

Coca-Cola HBCは世界最大の飲料メーカーの製造・販売部門で、スタッフ総数28,000人、世界28か国で展開、約6憶人の消費者を対象とするスーパーグローバル企業です。日本では、各種コカ・コーラシリーズ、スプライト、ジョージア、リアルゴールド、爽健美茶などが有名です。

Coca-Cola HBCは、もともとは1951年にアフリカ・ナイジェリアの小さな飲料メーカーとしてスタートし、ギリシャ、ヨーロッパ、アジアと拡大を続け現在はスイスが本拠地になります*

*参照:COCA‑COLA HBC AT A GLANCE – Coca-cola HBC

STB/SDGsへの取り組み

出典:A MORE SUSTAINABLE FUTURE – Coca-Cola HBC

Coca-Cola HBCではSDGsに整合的な「MISSION 2025」という6つのターゲットを設定し取り組んでいます。

  • EMISSIONS REDUCTION(CO₂削減/SBT)
  • WATER RECUCTION AND STEWARDSHIP(水使用量の削減と管理)
  • WORLD WITHOUT WASTE(廃棄物削減/容器のリサイクル)
  • SOURCING(天然資源100%を目指す)
  • NUTRITION(カロリーの減量)
  • PEOPLE AND COMMUNITIES(雇用機会の均等/ボランティア活動*)

*参照:A MORE SUSTAINABLE FUTURE – Coca-Cola HBC

SBTターゲット

  • 2010年と比較して2020年までにGHG Scope1と2のCO₂排出量を1リットルあたり50%削減し、さらに、Scope1、2、3全体で1リットルあたり25%削減する。
  • また、2016年にScope3排出量削減を実行する支援策を策定する。という目標を掲げています。

*参照:Case study Coca-Cola ‐ SCIENTCE BASED TARGETS

  • Scope1 → 直接排出(自社の燃料使用)
  • Scope2 → 間接排出(他社電力の使用)
  • Scope3 → 他間接排出(Scope1,2以外のサプライチェーン全体*

*参照:サプライチェーン排出量の活用について – 環境省

SBTケーススタディ

Coca-Cola HBCでは、SBTへの加盟以前の2006年からCO₂削減に取り組んでいます。このような持続可能な社会作りへの貢献は、企業としての責任だと認識し、長らく活動しています。

また、SDGsやCO₂削減に取り組むことで、持続可能な経営や長期的な事業計画につながり、強固なリーダーシップを保つことができると考えています*¹。

「MISSION 2025」の一環として、顧客の冷蔵庫のうち50%を省エネ機能に切り替えること、工場で使用するエネルギーのうち50%を再生可能エネルギーにすること、さらにEUとスイスの工場では100%再生エネルギーで賄うことを実現させようと取り組んでいます。

CO₂削減は優先すべき事業戦略として、省エネ機器や再生可能エネルギーの導入など、取引企業や顧客に対しても継続的な設備投資を行っています*²。

*¹参照:Case study Coca-Cola ‐ SCIENTCE BASED TARGETS
*²参照:EMISSION REDUCTION – Coca-Cola HBC

SBT事例2:SONY

出典:flickers

次に紹介するのは、SBT認定企業の日本代表として積極的にCO₂削減に取り組んでいる「SONY」です。「SONY」はオーディオ機器、ビデオカメラだけでなく、皆さんもご存知のようにPLAY STATIONやバーチャルリアルティなどでも世界を一世風靡している企業です。

会社概要

会社名:SONY CORPORATION(ソニー株式会社)

SONYは年間売上高8兆円、国内の時価総額ランキングで5位にランクインする大手電機企業です。日本を中心に、アメリカ、ヨーロッパ、中国・その他アジア圏などグローバルに展開し、ゲームやエンタメ系のネットワークサービスを主力として、イメージセンサーやIT機器、金融などの幅広い事業を行っています。

SONYの設立は1946年、当初は従業員20名の小さな会社でした。「人がやらないことをやる」をモットーに、独自の高度な電子技術で著しい成長を遂げています。

SBT/SDGsへの取り組み

出典:Green Management 2025 – SONY

SONYは3つのテーマを基盤に「Green Management 2025」を制定し、美しい地球のための取り組みを加速させています。

  • 気候変動(ゼロ・エミッションを目指す)
  • 資源(再生プラスチック開発など)
  • 生物多様性(協生農法による自然環境保護*)

*参照:サステナビリティ 環境 – SONY

SBTターゲット

  • 温室効果ガス排出量を2020年度までに2000年度に比べ42%以下に削減する
  • エネルギーの消費量を2020年度までに2013年度の30%以下に削減する
  • 長期目標として、GHG Scope1、2、3での排出量を2008年から90%以上削減することによって、2050年までに環境負荷を減少させる

参照:Case study SONY – SCIENCE BASED TARGETS

SBTケーススタディ

SONYでは、2010年からエコロジカル・フットポイントをゼロにする計画を公表、実行していました。そしてこの計画の実行の過程でSBTに加盟し、ターゲットの設定に至りました。

気候変動に対して行動すること、そしてそれを迅速に行うことが不可欠であるとSONYでは考えています。気候変動は、人々とのつながりを追求する企業としてのSONYのアイデンティティの中心にあり、環境に配慮し、責任を持って行動することは、最も重要な活動の一つと認識しています。*¹。

新たに設計する小型製品の包装は100%プラスチック廃止、1台の製品に使うプラスチック使用量を10%、消費電力を5%削減することでエネルギー・資源の消費量を抑えています*²。

また、2050年にはCO₂排出ゼロ、100%再生可能エネルギーの実現に向けて、世界各地にある自社設備を再生可能エネルギーの自家発電へと変換しています。英国のセンターではすでに100%再生エネルギーを実現しています*²。

参照:Case study SONY – SCIENCE BASED TARGETS
参照:サステナビリティ 環境 – SONY

SBT事例3:NRG

出典:flickers

SBT認定企業の代表的な事例として、もう1社ご紹介しておきたいのが「NRG」です。「NRG」は米国の大手エネルギー会社の1つで、2013年にBright Source EnergyやGoogleとの提携にて世界最大規模の太陽光発電「The Ivanpah Solar Project」を立ち上げています。

会社概要

会社名:NRG Energy Inc

NRGは1992年に設立した比較的新しい電力会社です。ニュージャージー州に拠点を構え米国内の一般消費者・企業・商業施設を中心に370万世帯に電力の生産・供給を行っています。

天然ガス、石炭、原子力、再生可能エネルギーと幅広い供給源にて、50GWを超える電力供給量を保有しています。IT技術を駆使した新しい電力システム、顧客のニーズに応えるためにも環境を考慮した再生可能エネルギーの開発に力を入れゼロ・エミッションを目指しています。

STB/SDGsへの取り組み

出典:Sustanability Approach – NRG

NRGでは5つのテーマに沿って持続可能な社会へ貢献しています。

  • Bussines(SDGsの目標達成に向けての問題提示と支援)
  • Cosutomer(顧客への持続可能なエネルギーの提供)
  • Suppliers(自社内における意欲的なSBTゴールの達成)
  • Operation(営業すべての過程における排出量削減)
  • Workplace(強靭で健康な職場環境づくり)

参照:Sustanability Approach – NRG

SBTターゲット

  • 2030年までに2014年に対して、GHG Scope1、2、3でのCO₂排出量を50%削減する
  • 2050年までに2014年に対して、GHG Scope1、2、3でのCO₂排出量を90%削減する
  • ターゲットにはGHG Scope3、つまり従業員の通勤、営業、出張での排出量も対象とする

参照:Case Study NRG – SCIENCE BASED TARGETS

SBTケーススタディ

NRGでは、既存の目標、対策の延長線上にSBTが存在し、以前からCO₂削減に向けた未来の再生エネルギーの構図を描いていました。一方、NRGにとって業種上で最も困難な課題は、自社でCO₂排出量が多い発電所をいくつか所有していることです。この発電所については早急な閉鎖はできないため、長期的に閉鎖する方向で対応しています*¹。

また、再生可能エネルギーの導入を促進させていくためには、安全で安定性・信頼性が高いエネルギーであること、さらに利便性が高く低リスク・低コストであることを重要なポイントとみなしています*²。

NRGはCiscoのソーラープロジェクトに9,600万枚の太陽光パネルと電力システムを提供、23MWの電力供給、40%のCO₂削減を実現しています。他にもHouston Methodist Hospital、City of Houstonなど持続可能な新しい電力の供給にてCO₂削減に貢献しています。

参照*¹:Case Study NRG – SCIENCE BASED TARGETS
参照*²:Sustanability Approach – NRG

先導する大手の取り組みからヒントを得る

今回ご紹介した企業はグローバルに展開している大手企業のSBT事例で、スケールが大きくなり、現実味に欠ける事例として映ったかもしれません。しかし、3社に共通しているのは地球温暖化に対する問題意識の強さ、時代をリードする企業としての使命感です。

そして、中小企業にとって注目すべきは各企業が採用するGHG ScopeとScope3までをも対象としているということです。Scope3はまさにサプライチェーンを対象としており、大手企業がここをターゲットとして設定している以上、取引のある企業は必ず環境対策を求められるということです。

RE100加盟企業などでもこの動きは加速しており、今後中小企業でも再生可能エネルギーに転換しているかどうかが大きな意味を持ってくるでしょう。コストばかりが気にされていたビジネスの世界で今後「再生可能エネルギー」という評価軸が生まれるのも遠くありません。

この記事を参考にぜひ自社の取引先の環境対策を把握し、対策を打ってみてはいかがでしょうか。

【緊急開催】令和4年度補助金補正予算解説WEBセミナー

タイトルとURLをコピーしました