CDPのAリストとは?最新の動向や選定された企業などを解説!

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近年、さまざまな企業が環境問題への取り組みを実施するようになってきました。その取り組みを評価する指標として注目を集めているのが、CDPのAリストです。今回はCDPのAリストの概要や最新動向、実際に選定された企業について解説していきます。

そもそもCDPとは?

CDPとは、主要国の主要企業に対して、環境戦略や温室効果ガスの排出量の開示を求めるプロジェクトです。Carbon Disclosure Project(カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト)の頭文字から成り立つ用語として知られています*¹。

また、CDPはイギリスの慈善団体による非政府組織でもあり、企業や地域、投資家などが環境の影響を管理できる情報管理システムを運営しています。世界規模で環境問題を改善できるように尽力し、日本でも2005年から活動をスタートしました*²。

具体的な取り組みとしては、世界の先進企業に情報開示を求める質問状を送付し、回答結果を分析・評価しています。回答結果は取り組みに応じたスコアリングとともに世界に公開され、企業価値を測定する指標としても役立てられています。

年々にわたって環境情報の開示を行う企業は増加しており、2020年度においてその数は過去最高である9,600社を超えました。

そのほか、環境に関するさまざまなレポートの報告もCDPの活動の一つです。具体的には、気候変動レポートや、水セキュリティレポート、フォレストレポートなどをまとめています。

*参照1:「CDP」-EICネット
*参照2:「CDPについて」-CDP

CDPのAリストの概要

CDPは質問書に回答した企業に対して、AからDのスコアを付与しています。ちなみに、A評価は最高評価であり、リーダーシップレベルです*。このA評価に選定された企業の集合がAリストです。ここからは、Aリストの動向と実際にAリスト入りした企業を確認していきます。

*参照:「スコアリングイントロダクション 2020」-CDP

Aリストの動向

2020年度のAリストには319社が環境先進企業として選定されました。内訳は気候変動のAリストが277社、水セキュリティのAリストが106社、フォレストのAリストが16社です。

本社の所在地で分けると、欧州が133社で最多であり、アジアが100社、北米が61社です。さらに細かく国別に分けると、日本が66社、アメリカが58社、イギリスが21社、ドイツが19社、フランスが18社です。

世界と比べると、選定されている日本企業の数はトップクラスだとわかります。

Aリストに選定された日本企業

各ジャンルのAリストに選定された日本企業の例は下記の通りです*。

気候変動

イオン/味の素/アサヒグループホールディングス/アスクル/ベネッセホールディングス/ブリヂストン/キヤノン/第一三共/大和ハウス工業/富士電機/不二製油グループ本社/富士通/古河電気工業/いすゞ自動車/J.フロント リテイリング/日本たばこ産業(JT)/鹿島建設/花王/川崎汽船/キリンホールディングス/小松製作所/コニカミノルタ/コーセー/京セラ/丸井グループ/三菱電機/三菱地所/MS&ADインシュアランスグループホールディングス/ナブテスコ/日本電気(NEC)/ニコン/NTT/日本郵船/野村ホールディングス/野村総合研究所/大林組/小野薬品工業/楽天/リコー/セイコーエプソン/積水化学工業/住友化学/住友林業/サントリー食品インターナショナル/大成建設/武田薬品工業/横浜ゴム/戸田建設/東京製鐵/東芝/豊田自動織機/トヨタ自動車/横河電機

ウォーター

キヤノン/ファーストリテイリング/不二製油グループ本社/富士フイルムホールディングス/富士通/日立製作所/日本たばこ産業(JT)/花王/キッコーマン/キリンホールディングス/小松製作所/クボタ/三菱電機/ナブテスコ/日本電気(NEC)/日産化学工業/日産自動車/セイコーエプソン/積水化学工業/塩野義製薬/ソニー/住友化学/住友商事/サントリー食品インターナショナル/TDK/東京ガス/東レ/豊田自動織機/トヨタ自動車/横河電機

フォレスト

不二製油グループ本社/花王

*参考:【環境】2020年の世界CDP Aリスト企業一覧 〜気候変動・ウォーター・フォレストの3分野〜(株式会社ニューラル)」-Sustainable Japan 

Aリストに選定された企業の活動事例

ここからは、Aリストに選定された企業の活動事例をご紹介していきます。

事例1.鹿島建設

気候変動のAリストに認定された企業として鹿島建設が挙げられます。

鹿島建設は1840年に創業して以来、建設事業を通じて作業や経済の発展に貢献してきた建設企業です*¹。1998年に「鹿島環境方針」において、「環境保全と経済活動が両立する持続可能な社会の実現を目指す」ことを宣言しました。

その後、提供する建造物から排出される温室効果ガスの排出量をゼロにすることを目指したり、風力発電やバイオマス資源といった再生可能エネルギー分野の取り組みを推進したりしています*²。

*参照1:「経営理念」-鹿島建設
*参照2:「CDP気候変動のAリスト(最高評価)に認定(鹿島建設)」-鹿島建設

事例2.花王

花王は、気候変動、森林、水の全分野でAリストに選定された日本初の企業です。

1887年*¹に創業し、現在ではライフケア事業や化粧品事業、ケミカル事業など、幅広い事業を展開しています*²。

気候変動や水の抱える課題が花王のビジネスに与えるリスクについて積極的な開示を行った点や、パーム油・紙・パルプなどの調達ガイドラインで森林破壊ゼロの指示を表明したことなどが評価されたようです*³。

*参照1:「会社概要」-花王
*参照2:「事業分野」-花王
*参照3:「花王、CDPから「気候変動」「森林」「水」の分野で最高評価を獲得」-花王

まとめ

以上、CDPのAリストの概要をはじめ、最新動向や選定された企業などをまとめました。日本をけん引する大企業の数々が、CDPのAリストに選定されているとおわかりいただけたのではないでしょうか。

環境に負荷を与え続けてしまうと、事業に必要な資源を調達できなくなり、経営の持続性ににも悪影響が出てきます。Aリストに選定されている企業の取り組みに注目し、環境問題にアプローチする方法を少しずつでも検討していきましょう。

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