地域マイクログリッドとは?災害時こそ再エネの出番!

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再生可能エネルギー関係者の間で、『地域マイクログリッド』という言葉が使われ始めました。地域政策とエネルギー問題の関係、そしてエネルギー関連での『地域マイクログリッド』とは一体どういうことなのでしょうか。

この記事では、地域マイクログリッドとは何か、そのモデルと、適した土地・地域、事例をご紹介します。 再生可能エネルギーとも関係が深い、地域マイクログリッドについて理解を深めていきましょう。

参照:資源エネルギー庁-「地域マイクログリッド構築のてびき」

地域マイクログリッド=「分散型エネルギー」へのシフト

地域マイクログリッドとはなにかを説明する前に、「分散型エネルギー」へのシフトについて説明します。

2011年3月11日の東日本大震災で発生した東北電力での広域大停電は、発生後8日で94%が復旧したものの、着手可能な地域の停電がすべて復旧したのは6月18日のことでした*¹。

また、2019年の台風15号では千葉県内で大規模な停電が発生。自前の送電網とガスエンジン発電機を活用し、道の駅を中心に近隣の住宅に電気を供給し続けられた地域の事例が注目を浴びました*²。

これらのことから、集中型エネルギー供給システムが持つ脆弱性を改善すべく、地域の特性を生かした多様な供給力を組み合わせて、エネルギー供給のリスクを分散化させようという機運が高まったのです。

地域の特性を生かしたエネルギーとは、再生可能エネルギーなどのことであり、CO₂削減もできるとあれば一石二鳥です。また、需要家が供給側にも参加できるようになるため、需給構造が柔軟になるというメリットもあります。

このように、地域マイクログリッドは災害に強いエネルギー供給システムとして考え出されました。

参照1:経済産業省-「3月11日の地震により東北電力で発生した広域停電の概要」
参照2:スマートシティーニュース-「資源エネルギー庁の『地域マイクログリッド構築のてびき』、ここがポイント!」
参照:資源エネルギー庁-「分散型エネルギーについて」

地域マイクログリッドとは?

地域マイクログリッドとは、災害で広域停電が起こるような状況になったとき、小さな地域単位で電気の自給自足ができるようにするエネルギーシステムです。マイクログリッドは「micro=極⼩の」と「grid=送電網」を組み合わせた単語です。

平常時は、既設の送電線から電気の供給を受けますが、災害時にそれが止まったときは、切り替えて地域内の発電施設から電気を自給自足できるシステムなのです。

地域内では、太陽光発電やバイオマス発電などの再⽣可能エネルギーで電気をつくり、蓄電池などで電⼒量をコントロールします。そして、災害時に当該地域内のみに電気を供給することが考えられています。

そして、地域マイクログリッドには、人口の少ない非都市部と、人口が多い都市部の2通りのモデルがあります。

参照:スマートシティーニュース-「資源エネルギー庁の『地域マイクログリッド構築のてびき』、ここがポイント!」
   北海道経済産業局-「『地域マイクログリッド』ってなに? ~分散型電源で“エネルギーの地産地消”~」

非都市部における地域マイクログリッド

人口の少ない非都市部は、山間部や半島の先端など、地理的に端の方にあることが多く、災害時には復旧が遅くなる可能性が高いので、地域マイクログリッド構築の有効性が高いと言えます。 また、送配電経路でも端の方にあり、解列点、切替ポイントが少なく、地域マイクログリッドの発動もしやすいのです。

非都市部型地域(郊外・半島部・山間部等)の地域マイクログリッドの典型的モデル
資源エネルギー庁-「地域マイクログリッド構築のでびき」

非都市部型地域マイクログリッドではもうひとつ、離島での構築もあります。離島は海底ケーブルを用いて電力が供給されることが多く、系統線が一つしかないため、解列点も1つだけに限られ、地域マイクログリッドを構築しやすいという面があります。

非都市部型地域(離島)の地域マイクログリッドの典型的モデル
資源エネルギー庁-「地域マイクログリッド構築のでびき」

都市部における地域マイクログリッド

人口の多い都市部で災害が発生して電気の供給が止まると大きな混乱が生じます。そこで、住民は一時的な避難として、避難所などへの電気供給を前提とした地域マイクログリッドを構築する場合があります。

この場合、災害時に地域だけの送電網として自立させた電気供給に切り替えるには、非常時にのみ開放する解列点や、閉鎖する解列点がどちらも複数必要となり、複雑になります。また需要家の数が多く、非常時に備えた発電設備も大型になる傾向があります。

こうした事情もあり、国内ではまだ例が多くありません。

都市部における地域マイクログリッドの典型的なモデル
資源エネルギー庁-「地域マイクログリッド構築のでびき」

地域マイクログリッド構築に向けた課題とは

地域マイクログリッドには、再生可能エネルギーが有効に活用できる上、災害時に復旧しやすくなること、地域が活性化することなど様々なメリットがありそうです。

しかし、その普及に当たってはいくつかの課題があります。

現在、経済産業省と環境省の共同活動の中では次の課題が話し合われており、今後普及していくにあたっては、これら課題の解決が鍵になると考えられています。

  • 送配電網の維持コスト・維持計画等の開示
  • 地域マイクログリッド導入促進のためのインセンティブ設計
  • 自治体による地域課題の提示
  • 地域マイクログリッド事業に関するルールの明確化、柔軟な制度設計
  • 自治体と民間事業者による長期計画の策定と共同事業モデルの確立
  • 官民による事業実施コンソーシアムの構築

いずれも、地域マイクログリッド構築を民間が事業として行うにあたっては、様々な障壁が考えられる、というものです。民間が参入に意欲を示すような仕組みづくりが必要なのかもしれません。

参照:資源エネルギー庁-「地域マイクログリッド構築のてびき」

地域マイクログリッドの事例

宮古島市来間島地域マイクログリッド構築事業

沖縄の宮古島市の来間島は、沖縄本島の南西約300kmに位置する宮古島と、来間大橋でつながった離島で、人口は約160人です。

沖縄電力(沖縄県浦添市)とネクステムズ(沖縄県宜野湾市)、宮古島未来エネルギー(沖縄県宮古島市)、そして宮古島市の4セクターでコンソーシアムを作り、2020年9月15日、地域マイクログリッド構築事業が開始されました。 来間島には、すでに380kWの太陽光発電設備があります。この事業では、それに加えて住民の住宅に太陽光発電設備、蓄電池、エコキュートなどを、第三者所有モデル*にて住民の負担なく無償で設置。合計270kWの太陽光発電、360kWhの蓄電池を導入します。

さらに、需給調整用として容量800kWhの蓄電池を新たに設置し、これらを統合管理するシステムを用いて、マイクログリッドを構築する計画です。

来間島内で発電された電力量と本島から送られてくる電力量の差を、できるだけゼロにするようマネジメントし、いざ災害が起こった時には本島からの供給を遮断して、来間島内だけで電力が賄われるように、各家庭に設置した蓄電池を制御、電力の自立供給をするシステムです。

※第三者所有モデルについて詳しく知りたい方はこちら!

地域マイクログリッドに期待すること

地域マイクログリッド導入に関しては、様々な課題があることをお伝えしましたが、今後、災害に備えて地域マイクログリッドを導入しようという動きは高まる方向です。2021年4月には資源エネルギー庁より、「地域マイクログリッド構築の手引き」というマニュアルともいえる文書も公開されています。

地域マイクログリッドの真の目的とは「レジリエンス(resilience)」にあります。災害時にいかに早く復旧できるかということであり、今後日本全国で災害に強い地域づくりとして地域マイクログリッド構築が進展していくでしょう。

今後は、地域マイクログリッドの構築で、再生可能エネルギーの出番が増えることが期待されます。CO₂削減と共に、災害からのレジリエンス強化を図ることができる地域マイクログリッド構築の進展に、注目していきましょう。

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